国際会計基準導入はクールに受け止めよう

2008.10.01

仕事術

国際会計基準導入はクールに受け止めよう

戸井 雄一朗
クイックウィンズ株式会社 代表取締役

「金融庁、国際会計基準の導入検討表明」という報道。 焦って誤った対応をしないためにも、しっかりと基礎知識を身に着けましょう。 今回はコンバージェンスとアドプションの違いについてです。

論点としては、
1. Adoptionするか否か?
2. Adoptionする場合、選択適用か強制適用か?
3. Adoptionする場合、そのタイミングはいつか?
4. Adoptionする場合、そのScopeは?
この場合のScopeとは、上場/非上場、会社規模、単体/連結等により適用レベルもしくは適用そのものを変えるという考え方です。

上記4つが論点として挙げられますが、報道のトーンは各社様々で、強制適用ではないかというトーンで書かれていたり、少なくとも連結財務諸表においては選択適用はほぼ間違いないといったトーンで書かれていたりします。
このあたりはASBJが2011年以降のロードマップが固まってみないと何ともいえませんが、
2011年以降、何らかのスコープでのAdoptionは避けられないのではないかと思います。
永久にIFRSを追いかけて個別の基準の差異評価をしてConvergenceしていくのは効率、市場に対するスピード感からいっても現実的ではなく、また、国際会計基準の作成に日本が積極的に参加していく意味でもAdoptionが必要だからです。

■ 実務面での対応スタンス
Conversionが廃止されるわけではないので、今後の動きとしては、まず重要な短期のConvergence項目については、日本基準の改定が随時出されていきます。
企業にとっては都度基準の改定が出る形になりますので、それにきちんと対応しておくことが必要です。

ASBJのプロジェクト計画表です。
ASBJプロジェクト計画  
特に短期項目については既に適用時期が決定しているものもあり、近々に対応する必要があります。

各項目に関し、
① 財務諸表上のインパクト (P/L、B/S)
② 業務上のインパクト
③ システム上のインパクト
といった影響範囲をしっかりと見定めておくことが重要ではないでしょうか。

ただ、Adoptionについても、上記の論点がどう動くかのをウォッチし、
選択適用となった場合にどうするか?
税務との乖離をどう埋めていくか?
といった長期的な視点での方向性を常に念頭におき、制度が固まった時点ですぐに対応できるようにしておくことが求められます。

最後にASBJ計画表に記載されている短期対応項目についてIFRSとの差異をもう少し詳しく書いておきます。

[IFRS基準 : 短期対応項目]
★ 持分プーリング法の禁止
(イージフの野口さんの記事に詳しく書かれていますね)
野口さんの記事
★ 企業結合時の株式の価値を交換日をもって測定
★ 負ののれんの即時一括収益計上
★ 少数株主持分を資本勘定とする
★ 段階的株式取得において過去取得分も再度公正価値で評価
★ 外貨建てのれんは決算日のレートで評価
★ 棚卸し資産は低価法での評価とし、後入先出法は認められない
★ 固定資産の減損テストに割引後CFを使用
★ 減損の戻し入れを認めている
★ 仕掛中の無形資産は無形資産として計上
★ 退職給付債務計上時の割引率には決算期末の率を使用
★ 投資目的の不動産は公正価値で評価

これだけでも、盛りだくさんですね。。
個別の基準、トピックについては次回以降で書いていきたいと思います。

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