凄いプレゼンがやりたかったら、シナリオを捨てろっ。

2008.09.28

仕事術

凄いプレゼンがやりたかったら、シナリオを捨てろっ。

中村 修治
有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

40も過ぎて・・・やっと、プレゼンテーションを楽しむことができるようになった。 仕事なので、楽しむというのは、語弊があるが・・・ プレゼンをやっている私は、何を楽しんでいるのか、ちょいと考えてみた。

まだ、企画書を書くという仕事を始めた頃、
尊敬する上司からこんなことを言われた。
「書く」という行為は、「話す」という行為よりも、
30倍ぐらい頭を使ってることになるから、
一枚の企画書に書いていることをそのまま読んだら1分でも、
実は、その30倍=30分くらいの話はできるはずだと・・・。

その教えに従って、プレゼンでは、
企画書には書いていないことを、一生懸命メモ書きし、シナリオを作った。
ここで、こう笑いをとって・・・
ここで、こういうエピソードを入れて・・・
ここで、こういう〆をして・・・
完璧なシナリオは・・・残念ながら、
完璧なプレゼンドラマになることは、ほとんどなかった。

プレゼンテーションの場は、舞台ではなく・・・
コミュニケーションの場であるとこに気がついたのは、
30も後半になってからだ。
いやはや、遅すぎるっ。

プレゼンテーションの場は、生きている。
粛々と用意したシナリオを進行しても、クライアントには、響かないっ。

人のコミュニケーションは生きている。
「ライブ」である。

話している当の本人が、
自分の話にどれだけ興味があって、
どれだけドキドキしながら、
自分の想いを追っているかという状況に、相手は反応するものだっ。
話している側が、その話している状況や思考を、
おもしろがっていれば、聞いてる側もおもしろい。
話している自分に興奮し、感動していれば、聞いてる側も興奮する。

他人の前で話すとき、その内容は、事前に考えているのが常識だ。
しかし、その場の状況で、自分がどう話すかは、まったくの初体験。
その体験の中から、「新しい自分を発見する」を連続している話し手の姿に、
聞いている人は反応し、心動かされるのだ。

30も後半になってからのプレゼンでは、シナリオを用意しなくなった。
見せる企画書は、あらすじとしては使うが、
話す内容の詳細は、事前に、決めない。
行き当たりバッタリで挑んで、
行き当たりバッチリにすることに力を注ぐっ。

企画書を書いてるときに思ったこと、
書類に記載はしなかったが、その時にいろいろと考えていたことを、
その場で、思い出しながら、繋ぎ合わせて話す・・・。
そうすると、意外や意外・・・いろんな情報の繋がり方がする。
話していて、その状況が、面白くなっていくっ。
自分が何を次に言うのかが・・・自分の中で、期待していくようになるっ。
そうなると、聴衆の目がいきいきしてくるのがわかる。
「ライブ会場」の、良い状態そのもの。

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中村 修治

有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。 その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。

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