公益法人には、主に社員の会費で運営さる「社団法人」と主に基本財産で運営される「財団法人」の2種類があります。
サッカーのイエローカードにあたるのが「自主再建する早期健全化団体」、レッドカードにあたるのが「国の監督を受ける財政再生団体」です。いきなりレッドカードとなった夕張市のような財政破たん団体を未然に防ぐために、警告レベルのイエローカードを設けたといえばわかりやすいでしょう。
夕張市に近い財政状態と噂される自治体が全国に散見します。抜本的な財政見直しを進めている大阪府の施設統廃合の話題が度々ニュースになっています。
地域に一つしかない施設となれば独占企業と同じです。まして、公共施設なら、利益を出すことを考える必要はありませんでした。しかし、その発想はもう通用しません。
地方自治体の場合は、相撲協会のように、のん気に構えているわけにはいきません。
非営利法人が利益を出すことを「矛盾」と考えるのは危険です。非営利の公益法人が利益を出すのは、自身の存続のためです。
公益法人が利益を出すことを「悪」とする時代が長く続きました。しかし、そこでいう「悪」とは、一部の個人や団体だけが利益を独占する構図のことです。
今後、公益法人は自らの存続のために利益を出す発想が求められます。管轄する自治体に頼らない公益法人の存続は「自立」を意味します。自立のためのビジネス志向のマネジメント感覚を受け入れなければ、公益法人として存続することは難しいでしょう。
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利益を出すことが公益法人の条件となることに抵抗を感じる人がいるかもしれません。
A.利用者(住民)の役に立つ
B.利益を出す
AとBは矛盾していると考える発想は公益法人の変革を阻害します。AかBのいずれかを選択する二者択一の発想は存続を危うくします。一般企業においてもAとBをバランスよく実現することができるかどうかが企業の存亡を左右するポイントとなります。
赤字法人の存続にはパラダイムシフトが必要だといわれます。これに関しては、非営利法人も営利法人と同じです。
ここでいうパラダイムとは公益法人が利益を出すことをジレンマと考える発想のことです。単に、非営利から営利へのパラダイムシフトが求められているのではありません。非営利から営利へのシフトではジレンマは解消されません。
ジレンマの解消のためには、ジレンマの存在そのもののパラダイムシフト。つまり、どちらか一方を切り捨てることではなく、両方を受け入れコーディネートする。その発想がなければ未来はない。すなわち、存続も自立もないと思います。
米投資銀行4位のリーマン・ブラザース破たん。米国発の世界経済混乱を予想した人は多くいます。しかし、それが現実となった今、最適解を求め迷走する日々が続いています。何らかのパラダイムシフトが必要と知りつつ、具体策を示すことが困難なのが現状です。
“選択と集中”がトレンドの時代が長く続き、そのセオリーは大企業から中小零細企業にまで広がりました。しかし、その広がりとともに、誤用を疑いたくなるケースを見掛けることもあります。“選択と集中”の次のトレンドは何か、私の関心は次に向かっています。
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アイスブレーク
2008.09.17
2008.09.17