<38.4% 対 34.9%> 福田康夫首相の退陣表明後、2日夕から3日にかけて実施した共同通信社による全国緊急電話世論調査の結果の数字である。<次期衆院選比例代表で投票するつもりの政党は、自民党38.4%、民主党34.9%>という結果だ。
<支持する政権の枠組み>も<「自民党中心」が43・3%で、8月の前回調査より8・5ポイント上昇。これに対し「民主党中心」は41・7%で6・5ポイント減少>と伝えられている。
http://www.47news.jp/CN/200809/CN2008090301000703.html
「38.4% 対 34.9%」という数字は、マーケティング的に考えれば、自民党と民主党がこの時点で獲得している有権者の票の「シェア」である。
その意味をランチェスター戦略における「クープマンの目標値」にあてはめて考えてみると、いずれも「相対的安定シェア」といわれる41.7%が近い。「相対的安定シェア」とは、「このシェアを取っていれば二位以下が逆転することはかなり困難なシェア」であるといわれる。
当然、支持率など日々揺れ動くものであるので「絶対」などはあり得ないが、福田首相退陣以降のトレンドとしては、自民支持率が上昇、民主支持が下落傾向にあるのは確かだ。現在の所、「相対的安定シェア」の目標値に届く可能性は自民党の方が高く、あと3.3%。それに対し、民主党がそのような戦いを展開するのか大いに興味が高まるところである。
自民党支持上昇の要因を9月3日時点で共同通信は<内閣支持率が低迷した福田首相が退き、自民党総裁選で新たなリーダーが選出されることへの期待感>と分析しているが、状況はさらに、自民党総裁選挙に多数の候補者が名乗りを上げていることで変化している。
民主党は<小沢一郎代表の無投票3選が確実な民主党に、報道面での「埋没」への危機感が広がっている> と危機感を募らせている。
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/politics/m20080905012.html
多数の候補者が政策論争を繰り広げれば、弥が上にも自民党に有権者の関心が集中する。
民主党は<小沢一郎代表の無投票3選が確実>である以上、自民党の盛り上がりに対し指をくわえてみているほかないのが現状であり、自民党総裁選挙後の解散総選挙を考えるとこれは痛い。
2007年7月の参議院選挙における自民党大敗で、自民党は民主党を下回る第2党に転落しているとはいえ、両党のポジションは「リーダー」対「チャレンジャー」であることに違いはない。次の衆議院選で政権奪取を民主党が実現するためには、政治の世界の特異性はあるものの、戦略の定石はある程度踏襲すべきであろう。
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2008.09.26
2008.10.08
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。