ものごとは「分解」しなくては正しい解決手段が見えてこない。しかし、世の中、「十把一絡げ」に安易に単純化して扱う例は枚挙にいとまがない。
正しくセグメントするためには「ニーズ」でくくることが必要なのだ。
ニーズとは、「理想とする状態とのギャップ」である。
有名な言い回しがある。「顧客は”ドリル”が欲しいのではない。”穴を空けたい”のだ」。
作業をしている人がいる。そしてネジ留めか何かの必要が生じてたようだ。しかし、目の前にはねじ込むべき”穴がない”。故に、そのギャップを埋めるため”穴が空けたい”と思う。それこそがニーズである。
しかし、その”穴”はどんな大きさの穴なのか、深さなのか、個々の状況によって異なる。「ニーズ」は深掘りして、細分化しなくては顧客の要望には応えられないということを表わしている。
つまり、「災害弱者」や「後期高齢者」というくくり方は、そのくくられる対象者の「ニーズ」に本当に注目できているのかということが問題なのだ。災害弱者の4類型はその各々で事情もニーズも異なるだろう。まして、75歳以上という一律なくくりは、制度の検討時期にあった批判の通り、ニーズが反映されているとは思えない。
そうした、個々の事情、ニーズを反映せずにくくられている、気になる例は他にもある。
数年来、メディアを賑わしている「ネットカフェ難民」というくくりだ。
ネットカフェ難民に関しては厚生労働省が先月、対策に乗り出した。
<ネットカフェ難民に生活費、職業訓練条件に月15万円融資へ>
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080823-OYT1T00426.htm
<公共職業訓練の受講を条件に、訓練中の住居・生活費として月15万円を融資する制度を2009年度に創設する方針を固めた。年収150万円以下の受講者は返済が免除されるため、実質的には給付となる>という。
対策に乗り出したこと自体は評価する声もあるものの、就労意思確認の面接があるとはいえ、単純に融資(免除の場合は給付)して問題が解決するものではないという批判の声も多い。
そもそも、その「ネットカフェ難民」を構成しているとされる、や「ニート」「フリーター」というくくりも、適正な対応を行うためには本来、きめ細かくその状況とニーズを把握することが必要だろう。
一方、9月1日に野村総合研究所から「若年層の生活意識に関するアンケート調査」の結果が発表された。その調査結果を報じる記事で、「ニート」「フリーター」問題に踏み込んだ興味深い内容を見つけた。
<ニート・フリーター問題は社会のせい? 自分のせい? 立場で異なる責任所在への意見>
http://www.gamenews.ne.jp/archives/2008/09/post_3893.html
調査と記事の詳細はリンク先を確認されたいが、特筆すべきは調査回答者の属性と、その回答だ。
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2008.10.21
2009.09.19
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。