またしても突然の辞任記者会見。安倍前総理辞任から1年すらたっていないにも関わらず、政府・自民党、つまりはわが国のトップによる政権放り投げとも言える異常事態。どんな心理があったのでしょうか。
(中略)
(問)
一般に、総理の会見が国民には他人事のように聞こえるというふうな話がよく聞かれておりました。今日の退陣会見を聞いても、やはり率直にそのように印象を持つのです。安倍総理に引き続く、こういう形での辞め方になったことについて、自民党を中心とする現在の政権に与える影響というものをどんなふうにお考えでしょうか。
(中略)
(総理)
他人事のようにというふうにあなたはおっしゃったけれども、「私は自分自身を客観的に見ることはできるんです。あなたと違うんです。そういうことも併せ考えていただきたいと思います。」
(略)
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(分析)
今回の辞任記者会見のハイライトと思われる。結局政策実現が出来なかったこと、またそれに対する批判に対し、常に「良いカッコ」をしたいという、福田総理の美学が見受けられる。これまではそうした批判にも忍従してきたものが、最後の時を向かえ、ついに堪忍袋の緒を切った形で、記者に対し「あなたとは違う」とキレたと見ることが出来る。
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全体を通じて感じ取れることは、福田首相のダンディズムです。批判を馬耳東風の如く気にせず、政権運営をして来たような印象がありましたが、実は人並み以上に批判には敏感だったといえるでしょう。やはり「二世政治家」という立場があるのでしょうか。常に大政治家だった父と比較される立場。世襲には批判的な私ですが、この会見を見て、ちょっとだけ首相の気持ちに共感出来た気がします。
「他人事」との批判も、自らが汚れたくない美意識からではなかったかと感じ取れます。自らを「客観的」に俯瞰し、成果を上げられなかったことも認めている点、確かに「違う」んでしょう。
しかし残念ながらリーダーは普通の人ではないのです。福田さんが普通の人なら許された心情も、やはり一国の首相として、器量としては疑問符を感じます。ドロをかぶれない限界ということかも知れません。
もっと側近にこういった首相の「ホンネ」を傾聴できる人はいなかったのでしょうか?同じく低支持率でも福田政権よりは持ちこたえた過去の政権は多々あります。そうまでして政権維持に拘泥しなかったこと、これこそやはり福田ダンディズムかと感じました。
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2008.10.02
2008.10.14
株式会社RMロンドンパートナーズ 東北大学特任教授/人事コンサルタント
芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。