最近はCFO、CIO、CTO等の専門職のゴールキャリアが設定されることも多くなってきました。 一方、私が専門にしているバイヤー職はまだまだゴールキャリアの設定ができていないようです。
今年も購買・調達部門向けアンケート調査を
社団法人日本能率協会さんと共同で行っています。
今回のアンケート調査結果は
私にとってショッキングな気づきが多くありました。
中でも企業の調達責任者についての調査結果はたいへん衝撃的でした。
以前より私は購買・調達部門の地位向上や
バイヤーのプロフェッショナル化支援を掲げていますが、実態として、
やはりまだ調達責任者の社内での地位は決して高いものではないようです。
もっと衝撃的だったのは、調達責任者の購買経験は10年未満が殆どであり、
他部署や他社からの異動もしくは転職者が多数を占めているという点です。
つまり購買部門を若いうちから10年位経験し、
その後他部門や海外子会社の経営を経験、
また購買部門に戻り、調達責任者へ、というような
購買・調達職のキャリアプランやゴールとなるキャリアがないのです。
多くの企業では、他部門からいきなり落下傘的に
経験があまりない人を調達部門の責任者にしてしまうのです。
そう言えば最近購買・調達部門長と話をしていて
「私は開発出身である」「私は営業出身です」、外資系企業では
「他社からの転職で一年前に来ました」という方が多いような感じがします。
これには二つの理由があると考えられます。
一つは購買プロパーの方の資質の問題。
つまり経営陣や人事マネジメントが購買プロパーの方の資質を
問題視しているということでしょう。
もう一つは他部門出身の方が今までのしがらみがなく
変革を起こしやすい、というポジティブなとらえ方です。
正直、これは私も頷けるような気がします。
しかし、このようなバイヤーのゴールキャリアがない状態が
今後も続くとどうなっていくでしょうか?
私の周りには素晴らしいプロフェッショナルバイヤーと
そうでもないバイヤーの2種類の方がいらっしゃいます。
鬼沢さんのメルマガでも以前取り上げていましたが、
この格差が年々広がっていっているように感じます。
非常に優秀なプロフェッショナルバイヤーは
会社内での自分のポジションに満足しないようになってくるでしょう。
逆に今でも外資系企業を中心にバイヤーや
バイヤーのマネジメント職の求人は多く完全に売り手市場の状況です。
このままでは、国内企業の優秀なプロフェッショナルバイヤーは
社外に活躍の場を見出すという選択をするのではないでしょうか?
以前取り上げたOJTの崩壊ではないですが、
より一層ノウハウの継承ができなくなり
結果的に日本企業の競争力はなくなっていきます。
企業経営者や人事担当役員が購買部門のような専門職の
ゴールキャリアを作ることは急務な課題なのです。
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2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。