前回は、未払い残業代の算定方法を伝えて人事担当の知人の連絡から、未払い残業代の考え方について書いてみました。今回は、この算定方法と基本給の持つ影響力についてまとめてみます。
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年俸制は、年間の「労働時間」と「年俸額」がそれぞれ書面化されていて、初めて機能する制度です。但し、「労働時間」は「8時間×営業日数+360時間(36協定が在る場合)」が、どう頑張っても上限時間です。
年俸が500万円(12等分で月額支給)、営業日数が240日(月20日)と仮定すると
①賃金規程に、法定労働時間+残業時間(最大360時間)明記の場合
基本時間単価 = 5,000,000÷(8時間×240日+360時間×1.25)= 2,109円
②賃金規程に、年俸に含まれる労働時間が明記されていない場合
基本時間単価 = 5,000,000÷ 8時間×240日 = 2,604円
賃金規程に一言あるか無いかで、1名、1時間500円の差。
時間外手当であれば1.25倍以上の割り増しがありますから、600円以上の差が生まれます。この差を踏まえて月40時間、12ヶ月、100名となれば、簡単に億単位の債務が発生することが想像できると思います。
加えて、①の条件の場合は、月30時間の残業代は払われていることになります。②については、一つだけ打開策があるのですが…。
さて、月給制の場合はどのように考えるのでしょうか。
年収500万円の場合、よくあるケースは、月給+賞与:基本給4ヶ月分(16等分)です。そして、月給には家族手当や住宅手当、資格手当など約20%が手当として支給され、基本給は80%相当とします。
概算ですが、年収500万円÷16=312,500円。この80%が基本給とみなして、312,500円×80%=250,000円
基本給は、月の基本労働時間相当額ですから、8時間×20日=160時間分。
③基本時間単価 250,000円÷160時間 = 1562.5円
年俸制で労働時間を記載していないケースよりも時間単価で1,000円以上低い金額になります。割合で考えると、60%にしかなりません。
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ここでのお話しは、まずは就業規則と賃金規程に記載漏れがないかの確認が必要ということなのです。
これは、社会保険労務士の先生に依頼して、現状が法令に対応できているのかを確認することで分かります。
次回は、法令の隙間を突いた、企業防衛法について書きたいと思いますが、実際に実施していても書けない部分もありますので、人事が分かる方にイメージしやすくまとめたいと思います。
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未払い残業代
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