二酸化炭素問題にフォーカスしすぎる環境問題に思う。

2008.06.22

経営・マネジメント

二酸化炭素問題にフォーカスしすぎる環境問題に思う。

伊藤 達夫
THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

最近、温暖化ガスとして、二酸化炭素削減のための動きが積極的です。米国の元副大統領のアル・ゴア氏が温暖化ガスをターゲットとしたキャンペーンを張っていたのは記憶に新しいですね。確かに環境問題に取り組むのはいいことだと思いますが、この二酸化炭素へのフォーカスは果たして正しいのでしょうか?

 地球温暖化は確かに由々しき問題だと思います。

 海面上昇によって、住む場所が消えてしまう可能性がある。水没してしまう南の島はたくさんあるという主張もありますね。

 このあたりの真偽は今回問題にしないことにしましょう。諸説ありますからね。

 今回は、地球温暖化に二酸化炭素は非常にクリティカルな影響を与えていたとして、それでも違和感を感じることが多々あるので、そこを問題にしていきましょう。

 例えば、水素エンジン。

 地球環境にクリーンなエンジンです!というお話しをやっているテレビ番組がありました。

 確かに水素と酸素が結合して、水になる。水が排出される。二酸化炭素は排出されない。それはそれで、温暖化に優しいかもしれません。

 でも、水素を作り出すのって、水を電気分解しないと、地球上には自然には水素は存在しませんよね。

 その、電気はどこからやってくるか。化石燃料か、原子力発電によってもたらされますよね。

 発電所で化石燃料を燃やす時には、当然、二酸化炭素を排出します・・・。

 原子力は地球上の希少資源であるウランを消費しますよね・・・。

 東京電力は、原子力発電は温暖化ガスを排出しませんというテレビCMをやっていますね。でも、ウランと言う希少資源を消費します、とは主張しませんよね・・・。

 企業の問題に置き換えると、クロージング率を上げたら、クレーム発生率と解約率が増えた、みたいな問題に似てますよね。

 もしくは、工場の生産力を上げて、製品1つあたりのコストを減らしたら、在庫が異常に増えたとか・・・。そういうお話しに似てますよね・・・。

 温暖化ガスを削減するために、ウッドチップや、とうもろこし由来のエタノールを使おう!といったお話しをブッシュ大統領が演説していました。(ブッシュは演説が下手ですね・・・。どうでもいいですが。)

 そのせいで、とうもろこしの価格が上がる。

 そうすると、とうもろこしを主食にしている人々の生活が脅かされる・・・。高くて買えません、と。

 当然、なんらかのものをいじると、複雑な因果関係が支配するシステムですから、影響が出ます。

 企業の改善活動でも、全体の因果関係をしっかり捉えて改革していかないと、結局表面的な問題が移動し続けるという状況になり、儲かるという結果に結びつかないことが多いです。

 だから、コンサルティングは難しいと思うのですが。

 その全体のシステムをある程度わかった上で、それを知る努力をした上で、ソリューションを考えていくのが、コンサルタントの誠意だと私は思っているんですけどね。

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伊藤 達夫

THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。

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