16年前、渋谷の小さな貸し教室に20人の生徒を集めてグロービスはスタートした。そのグロービスは今や日本有数のビジネススクールとなり、学校法人として経営大学院を開学するまでになった。本物志向のビジネスパーソンから圧倒的な支持を受けるグロービスの秘密に迫る。
「ところが、このレポートがどうにもうまくない。ただ、よく読んで見ると、授業の中身がわかっていないわけではなさそうなんです。だとすれば、そもそも日本語のレポートの書き方がわかっていないんじゃないか。これは何とかしなければいけないなと」
そこで生まれたのが、現在のグロービスの看板プログラム「クリティカル・シンキング」である。論理思考力をトレーニングするこの通称「クリシン」は、グロービスがビジネスパーソン向けに組み立て直したことで大ブレイクした。その結果、クリシンは今やビジネス系情報誌の定番記事となっているほどだ。
「クリシンを出せば、きっと当たるだろうなどと戦略的に考えていたわけでは決してないんですよ。受講者のために必要だから作った。もっとも担当者が、地道なプロモーションをやっていたことは事実ですけれども」
誰にでも見える形で大がかりな仕掛けをやるのは、グロービスのやり方ではない。むしろ、極めて地味、だけれどもよく練り込まれたプランを着実に実施していく。これがグロービス流のやり方なのだろう。
「そうやっていろいろなことをやってきた結果、僕らだけが持っていて、ほかのビジネススクールには絶対にないものが二つあることがわかりました。一つが場の力、もう一つは講師の育成ノウハウですね」
場の力とは、意外に思われるかもしれないが、極言すれば飲み会のことである。グロービスの受講生には、他の大学が開講しているビジネススクールの参加者もいる。彼らが一様に指摘するグロービスならではの良いところ、それは「グロービスには飲み会がある」ことだ。
「クラスの後はみんな、脳がへとへとになっています。グロービスはかなりハードな予習を要求しますから、辛いことを共有した運命共同体みたいな状態にだんだんなっていくんでしょう(笑)」
▲授業風景
頭を振り絞って考えたクラスの後だ、少しは気分転換したくもなるだろう。その場に生まれる力をグロービスは大切にする。
「飲み会で今日のクラスのことを話してもらい、自分のキャリアのこと、会社のことなどを情報交換してもらう。能力の限界までがんばったクラスの後だからこそ、普段ならあり得ないようなコミュニケーションが起こる。そこで気づきがあり、ディープな人間関係が作られるわけです」
そうした人間関係を大切にする場の力がグロービスを成長に導いたことは想像に難くない。
これがグロービスが伸びてきた一つの秘密だとすれば、もう一つのカギとなる講師育成ノウハウは、どのような内容なのだろうか。
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FMO第10弾【株式会社グロービス】
2008.07.01
2008.06.24
2008.06.17
2008.06.10