読者の会社では「会社でお菓子を食べる」という行為は容認されているだろうか?
さて、もう一歩考えを進めてみよう。同調査によれば、<お菓子を食べる目的は男女ともに「小腹を満たす」「気分転換」を挙げる人が多い>とある。
「気分転換」と「コミュニケーション」に加えて「仕事」「職場」という言葉の組み合わせで何を連想するだろうか。
「タバコ」と思い浮かべた人も多いのではないだろうか。
喫煙所、つまり「タバコ部屋」は「アンオフィシャルなコミュニケーションの場」として重要な役割を担ってきていたのは事実だ。そこでの会話の中には、実は優れたアイディアやイノベーションが潜んでいることも多い。また、部門や役職を超えて本音が語られるので社内の情報共有回路としても機能する。
しかし、日本の喫煙率は先進国の中では突出しているとはいえ、年々低下している。ビジネス環境においては、禁煙のオフィスビルも多くなり、喫煙者はかろうじて片隅に設けられたタバコ部屋か、館外の喫煙所で何とかニコチン補給をしている現状だ。冬の寒い日や雨の中、外でタバコを吸う姿は修行のようでもある。
もはや喫煙者はマイノリティーになりつつある。タバコをやめた、もしくは、そもそも吸わない、そんな人々がタバコの代替として用いているのが「お菓子」なのではないだろうか。ちょっとした気分転換は、何かを口に入れた方がよりリラックスするという人も多い。また、気分転換の機会に人と人とコミュニケーションを図るには、何か媒介があった方がいい。やはり手軽なのは「お菓子」だ。
筆者の前職は日米合弁の広告会社勤務だったが、米国のオフィスではオフィスの中央に、コーヒーや軽食をいつでも、誰でも取りに行けるコーナーがあった。その会社だけではなく、欧米のスタンダードだと聞かされた。一足先に完全禁煙が進んでいるあちらでは、このコーナーがタバコ部屋に代わる「アンオフィシャルなコミュニケーションの場」として機能しているのだ。
これからも「ちょっとタバコでも吸いながら話そうや」というスタイルはどんどん消えていくだろう。
「女もすなる、お菓子といふものを、男もしてみむとて、するなり」で広まりつつある「男おやつ」。 社内のコミュニケーションを円滑にし、また新たなアイディアやイノベーションを創発するためにはこれからは、男にも女にも、職場のお菓子は奨励されこそすれ、禁忌されるものではないはずだ。
もちろん、節度やマナーをわきまえてのことだけれど。
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2008.06.06
2008.06.12
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。