北の都・札幌は冬場、どか雪に悩まされる。降り積もった雪を溶かす融雪装置だが、従来のものはムダの多さが欠点だった。「何とかムダをなくし、環境ダメージを抑えられないか」。エコで北海道を良くしたいと願う若手社長の熱い思いが生んだ画期的な装置が『ゆりもっと』だ。
「なぜならセンサーが感知する雪と路面の状況は必ずしもマッチしていないわけです。たしかに雪は降っているんだけれど、融雪装置を動かす必要がないケースも多々ある。ところがセンサーだけに頼っていると雪が降れば路面が凍っていなくても機械的にスイッチが入り無駄な運転をしてしまう」
この問題を解消するために『ゆりもっと』には現場の様子をチェックするカメラが組み込まれた。センサーが降雪を感知したら、カメラが作動し現場の状況を映した写真が登録アドレスに送られる。それを見て、融雪装置を稼働させるかどうかを人が判断する。この人による判断が決定的ポイントだ。
「これで無駄な運転をカットできます。原理は簡単なことなんです。ただ開発に時間がかかったのはシステムの作り込みには手間をかけたから。システムを使うのはごく普通の方です。ケータイの操作には不慣れな方もたくさんいらっしゃるでしょう。だからいかにユーザビリティを高めるかが開発の最大のポイントでした」
たとえば送られてきた写真へのアクセス方法、ケータイサイトの画面構成など、冬の間は毎日のように使うシステムだけに細かな部分への配慮が、日々の使い勝手に決定的な影響を与える。
「開発スタッフの中では僕が一番若造でしたが、ケータイに関してはプロという自負がありましたから、ずいぶんとダメ出しをさせてもらいました」
完成したシステムは誰が見ても「特許レベルのもの」であることがわかった。実際に札幌で開かれた展示会に出展したところ、たまたま講演で訪れていた特許庁職員の目に留まる。
「その方が特許は申請していますかと尋ねてくれたんです。状況を説明すると、実に的確なアドバイスをしてくださいました。それ以降もその方と密に連絡をとって手続きを進めた結果、普通では考えられないような短期間で特許が認められた。ラッキーですよね」
この特許申請が後々、強力な武器となる。なぜなら、こうした画期的な製品に付きものの類似品が、すぐに市場に出回り始めたからだ。
⇒次回「すご腕セールスマンとの出会い」へ続く(全四回)
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(インタビュー/構成:竹林篤実)
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FMO第8弾【エコモット株式会社】
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