AIが協働パートナーとなる時代、人間に残される思考は「コンセプチュアル(概念的)思考」になる。それはつまり──雑多な出来事・情報から本質を抜き出し、概念を形成する。客観的認識にとどまらず、主観的意志(信念・理念)を行動に変える。そのコンセプチュアル思考における5つの基本スキルについて解説する。今回はその2つめ──「モデル化」。

左側に置かれる図的表現は、データを忠実に客観性をもって図に変換するものです。すなわちカテゴリーⅠ的なものです。地図をはじめ、統計図表に用いるチャートやグラフ、楽譜がこれにあたります。機械的モデル図(例えば、家電製品の取扱説明書の図など)もどちらかといえば左寄りです。
そこから右側にいくにしたがい、概念の視覚化へと移っていき、図として表現するものが物事の意味や本質の姿というものになります。これらはカテゴリーⅡに属するものです。この典型は概念的モデル図(例えば、先のワークで起こした「仕事の報酬」の図)です。そこには必然的に図を起こす人の独自の解釈や観が入りはじめますが、それはいっこうにかまわないことです。
概念の視覚化が行き着くところには、宗教画の極みであるマンダラや禅画、抽象アートといった表現形式があります。時空を超えて残ってきたマンダラや抽象アートは、万人が理解しえないという意味では客観的ではありません。が、観ることのできる人が観れば、それはおおいなる真理を表現していて、人を引きつけてやまないものになります。
「図解」はAIが処理できるもの・「図観」は人間の洞察によるもの
昨今では情報を図化したものに総じて、「図解」とか「インフォグラフィックス(info-graphics)」といった言葉が当てられるようになりました。しかし、ここではそこをもう一段細かくみたいと思います。
すなわち、概念図やマンダラなどは、図解的というよりも「図観」的といったほうが近いものです。図解は、言ってみれば「図でやさしく事実を解く/図を通して実態が解る」ことです。他方、図観は「図で物事のとらえ方(=観)を示す/図を通して本質を観る」ことといってよいでしょう。
両者は図化する素材(データ的なものか、概念的なものか)も異なりますし、目的性(プレゼンテーション寄りか、思考の深化寄りか)も異なります。客観を求めるか、主観でよいとするかという点も異なります。
また、定量的データを客観的にチャートやグラフに変換する作業は、昨今の生成AIツールがいとも容易にやってくれるでしょう。しかし、物事の本質的な姿を主観的に浮かび上がらせる図観的表現となると、そこには解釈や観、意志が入るがゆえに、人間が洞察的に創造するものといえます。
AI時代 人間に残される思考は「概念的思考」になる
2026.08.15
2026.08.17
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
キャリア・ポートレート コンサルティング代表。組織・人事コンサルタント、概念工作家、『源流の森ブックス』編集発行人。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。
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