自身や部下の恒常的なスキルアップは、全てのビジネスパーソンに求められています。 本稿では気合や根性に頼らず、学ぶ環境をデザインすることで、学ぶ意欲の維持・向上させることを検討します。
本稿は『学ぶ意欲を維持・向上させる具体的な方法(前編)』の続きです。
○ポートフォリオという考え方で意欲減退のリスクを分散する
はじめは意欲的に取り組むものの、何となくその意欲がなくなっていった経験はありませんか。
1本の矢は折れやすいが、三本の矢は折れづらい・・・という話ではありませんが、6つの志向はどれか1つではなく、複数あることが理想だと考えられます。
ただ1つの動機付けの志向で学習を続けていた場合、それが満たされてしまう、もしくは萎えてしまうと、学習が止まってしまうからです。
そこで『学習動機のポートフォリオ』を組むことが考えられます。
ポートフォリオとは投資の分野では、リスク分散のために性格の異なる複数の金融商品を持つ投資手法をいいます。
これを学習動機に応用して、複数種類の学習動機の源を持つことで、学習動機を維持させるのです。
○具体例を用いたおさらい
具体的な活用例を通して本稿の内容を確認していきましょう。
ここでは、みなさんが交渉術について学んでみたいと思ったとします。
その意欲を維持・発展させるために、どのような方法があるでしょうか。
学習動機の源となる6つの志向から考えてみましょう。
なお、外発的動機付けから内発的動機付けに移行するイメージであるため、前述の説明とは逆の順番で説明しています。
・報酬志向(学習すると報酬が得られるから学習する)
→学習内容とは関係のないところで報酬を設定したり、評価を得る
例:交渉に関する本を1冊読み終わるごとに豪華なレストランに行くと決める
・自尊志向(プライドを満たすために学習する)
→他者と競争するしくみや、他者に証明できるしくみをつくる
例:誰かとそれぞれ異なる交渉目標を持って、ロールプレイや現実で技術を競う
・関係志向(他の人も学習するから学習する)
→魅力的な人たちと一緒に学習を続ける環境をつくる
例:好きな人と一緒に勉強して、交渉の話題でコミュニケーションを続ける
・実用志向(仕事や生活に役立つから学習する)
→具体的にどのように仕事に役に立つのかを強くイメージする
例:交渉術を学ぶことで、営業のクロージング確率が高まることを考える
・訓練志向(知力が鍛えられるから学習する)
→フィードバックを受けたり、自己点検を通して成長を確認する機会をつくる
例:商談前に交渉戦略を作成し、商談後に実行できたかを自己点検をする
・充実志向(学習自体が楽しいから学習する)
→深化もしくは発展させた、新しい魅力的な学習テーマを設定する
例:営業活動にフォーカスした交渉や、英語での交渉を学んでみる
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2007.05.30
2007.07.24
株式会社エデュテイメントプラネット 代表取締役
社内教育担当者・教育事業者・学校法人を対象に、研修(授業)企画・教材開発サービスを行う。 特に、繰り返し実施する研修で、講師の品質に大きく左右されず、常に一定品質以上の教育効果を生むことをめざした研修の企画・開発を行っている。 開発した教材のテーマやメディアは多岐に渡り、ビジネスゲーム『ロボロボ』は韓国大手製鉄会社でも活用されている。