日本経済を取り巻く状況は、この数年で大きく様変わりしました。長く続いたデフレからインフレへと転じ、為替は円安基調が続いています。世界では紛争や内戦が長期化し、地政学リスクがこれまで以上に高まる中、企業を取り巻く外部環境も不確実性を増しています。
日本人は真面目で慎ましいが、良くも悪くも現状を受け入れてしまう気質があり、さらに日本の人口は1億2400万人と規模が大きく、国内需要だけでもなんとかなってしまうため、危機感が生まれにくいという土壌があります。
外圧をチャンスに変える
こうした状況の中で、近年アメリカから、令和型・次世代型の産業構造改革を進めることを求める明確なシグナルが届くようになりました。財務省、金融庁、東証に対しても、「経済安全保障上日本は欠かせない存在なのだから、もう少しピリッとしてくれ」という期待があると思っています。
しかし、この外圧を悲観的に受け止める必要はありません。むしろポジティブに捉えるべきです。34年間続いたデフレを経て、今、ようやく日本は経済再生のスタートラインに立てたと感じています。私は、この機を逃さず、もう一度最強の日本をつくってほしいと思っています。ワークライフバランスやSDGsといった議論は重要ですが、今は足並みを揃えることよりも、プライム企業はまずは稼ぐこと、とくに外貨を稼ぐことが最優先だと思います。
日本が積極財政に舵を切れば、しばらく円安が続く可能性が高まります。為替は通貨同士の相対的な関係で決まるため、アメリカが大量にドルを供給しない限り、日本が財政出動するほど円は希薄化し、円安が進みやすくなります。だからこそ、企業はドルやユーロといった基軸通貨で稼げるようにシフトし、その仕組みを構築しないといけません。そのためには、ビジネスパートナーを一国に固定せず、ハイブリッドに考える必要があります。
日本は本来「仕入れに利あり」の国です。安価で良質な原材料を仕入れて、高度な技術で加工する。日本はそれができる世界屈指の技術力を持っています。しかし円安が進めば、「仕入れに損あり」へと転じてしまいます。良質な原材料を安定的に自社工場に供給するためには、サプライチェーンネットワークをしっかり構築し、調達の一部をドル建てにするなど、為替の影響を受けにくい決済スキームを整える必要もあるでしょう。こうした構造設計は、経営企画とCFOが戦略として考え、実行していくべき経営課題です。
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2009.02.10
2015.01.26
ハートアンドブレイン株式会社 代表取締役社長
1968年、千葉県生まれ。東海大学法学部卒業。 英国国立ウェールズ大学経営大学院(日本校)MBA。 新日本証券(現みずほ証券)入社後、日本未公開企業研究所主席研究員、米国プライベート・エクイティ・ファンドのジェネラルパートナーであるウエストスフィア・パシフィック社東京事務所ジェネラルマネジャーを経て、現職。
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