日本は本当に人手不足なのか? ―日本人が、対峙すべき現実―

2025.11.25

経営・マネジメント

日本は本当に人手不足なのか? ―日本人が、対峙すべき現実―

齋藤 秀樹
株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事

本当に「人がいない」のだろうか。 それとも・・・ 「人はいるのに、立ち上がれないでいる」のだろうか。 この違和感から、話を始めたい。

ここで、もう一つ問いを置いてみたい。

いま、あなたが所属している「場」は、 あなたの可能性を広げているか?

 それとも、縮めているか?

6.“場”をひっくり返す技術としてのチームビルディング

では、この状況をどうひっくり返すのか。

法律や制度を変えるのも大事だが、もっと手触りのあるところから始められることがある。

それが、チームビルディングである。

チームビルディングとは、「仲良しごっこ」でも「一体感づくりイベント」でもない。

人が成長し、互いの力を活かし合える場”として、チームという器を設計し直す技術である。

たとえば、こんな物語を想像してほしい。

ある部署の「ビフォー」

  • 会議は、上司が一方的に喋る「業務連絡の場」。
  • 失敗すると、人前で叱責されるので、誰もチャレンジしない。
  • 部下が意見を言っても、「そんな余裕はない」で一蹴される。
  • 若手は「とりあえず3年」のつもりで、常に転職サイトを眺めている。

ここに、チームビルディングの考え方を入れていく。

そして「アフター」へ

  • まず「今のうちのチームはどんな船か?」を全員で話し合う。
    → 多くのメンバーが「泥舟」「流される船」と感じていることが分かる。
  • 次に、「3つの壁(曖昧性・関係性・存在)」を見える化する。
    → 「伝えたつもりが多い」「本音を言えていない」「いてもいなくても同じだと感じる人がいる」ことに気づく。
  • そこから、たった一つの行動を決める。
    → 会議の最初に1分だけ「最近あった小さな良いこと」を全員が話す。
    → 失敗したことを責めるのではなく、「そこから何を学ぶか」を皆で話す。

最初は気恥ずかしい。

しかし、数ヶ月たつと少しずつ変化が起き始める。

  • 部下が「実は、こうしたほうがうまくいくと思う」と言い出す。
  • 上司が「それ、やってみよう」と言えるようになる。
  • ミスが起きても、「誰のせいだ」ではなく「次どうしようか」が自然に出てくる。

1年後、その部署の若手にインタビューすると、こんな言葉が返ってくる。

「前は、ここで働き続ける未来が見えなかった。

 今は、ここにいると自分がちゃんと成長できる実感がある。」

人数は増えていない。

大きな予算を使ったわけでもない。

それでも、このチームだけは

「人手不足の職場」から、「人が育ち、人が集まる職場」に変わり始めている。

7.立場別に、「今日から向き合える問い」を持つ

最後に、それぞれの立場ごとに、

「人手不足」に対して今日から持てる問いを置いて終わりにしたい。

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齋藤 秀樹

株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事

富士通、SIベンダー等において人事・人材開発部門の担当および人材開発部門責任者、事業会社の経営企画部門、KPMGコンサルティングの人事コンサルタントを経て、人材/組織開発コンサルタント。

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