事前期待~リ・プロデュースから始める顧客価値の再現性と進化の設計図~

2025.10.22

経営・マネジメント

事前期待~リ・プロデュースから始める顧客価値の再現性と進化の設計図~

松井 拓己
サービスサイエンティスト (松井サービスコンサルティング)

サービスには設計図がない――― これが私がサービスサイエンティストとして歩み始めた際に出会った問題意識です。

サービスには設計図がない―――
これが私がサービスサイエンティストとして歩み始めた際に出会った問題意識です。業務標準やマニュアルのように、失敗しないための設計図はあるかもしれませんが、顧客から選ばれ続けるための「価値の設計図」がないのです。

「期待を超える」というスローガンを掲げ、現場の経験やセンスに頼る「心掛け」だけでは、組織としての価値向上には限界があります。実際に、これまでのやり方に「限界」を感じ、思うように成果が出ていない企業は多く存在します。

最近では、顧客体験価値(CX)の向上を目指してカスタマージャーニーマップを「設計図」として作成するケースも増えています。しかし実情は、提供者側の都合で嫌ついていないでしょうか。CXとは本来、顧客の「体験」の「価値」を高めるものですが、「体験の設計」ばかりで、「価値の設計」が抜け落ちています。

これまでの延長線の殻を破り、組織的な価値の再現性を高め、さらに価値を進化させて、事業成長を加速したい。そんな方のために、サービスの本質であり、価値の設計図の基点となる「事前期待」を科学し、設計図を描くための指南書が『事前期待 リ・プロデュースから始める顧客価値の再現性と進化の設計図』です。これまで300を超える組織での実践を踏まえ、読み進めながら実践的なステップを進められるように構成しています。実践企業や日本サービス大賞を受賞した約30の事例も掲載させて頂きました。

顧客の「事前期待」を科学する

「事前期待」とは、顧客がサービスを利用する前に思っている「こんな風だったらいいな」という願望や要望のことです。この見えない力を科学し、体系的に捉えることで、私たちは再現性のある高い顧客価値を生み出すための「価値の設計」を組み立てることができます。

出発点は、既に生み出している価値を、属人的なものから組織で安定的に再現するための「リ・プロデュース」です。このリ・プロデュースの中核を担うのが、顧客の多様な事前期待を整理し、注力すべき「的(まと)」をモデル化する手法です。例えば、顧客の事前期待を「共通的」「個別的」「状況で変化する」「潜在的」な4種類に分類できます。それを踏まえて、顧客にとって価値のある事前期待をタイプ分けして「事前期待の的モデル」を描きます。これがあれば、「あれもこれも」と手を広げることなく、事前期待の的にフォーカスして、小さな努力で大きな成果を生み出すことができます。組織全体で共通認識を持ち、効果的かつ納得感ある取り組みを進めることが可能です。

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松井 拓己

サービスサイエンティスト (松井サービスコンサルティング)

サービスサイエンティスト(サービス事業改革の専門家)として、業種を問わず数々の企業を支援。国や自治体の外部委員・アドバイザー、日本サービス大賞の選考委員、東京工業大学サービスイノベーションコース非常勤講師、サービス学会理事、サービス研究会のコーディネーター、企業の社外取締役、なども務める。              【最新刊】事前期待~リ・プロデュースから始める顧客価値の再現性と進化の設計図~【代表著書】日本の優れたサービス1―選ばれ続ける6つのポイント、日本の優れたサービス2―6つの壁を乗り越える変革力、サービスイノベーション実践論ーサービスモデルで考える7つの経営革新

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