キラキラ社長のPR成果が認められない理由 「ズルしていただき」の禁止

2024.12.02

組織・人材

キラキラ社長のPR成果が認められない理由 「ズルしていただき」の禁止

増沢 隆太
株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

出直し兵庫県知事選挙で当選した斎藤元彦知事の選挙戦において、SNSを駆使して当選への道を作ったと主張するPR会社社長。孤立無援、敵だらけの環境にいた斉藤氏を、大逆転で当選に至らせたそのPR効果は、公選法違反の疑いなど大きな問題があるものの、ここまでの成果が出たことで「PRとしてはすごい」という意見が見られます。しかしこの評価は間違っています。

PR会社社長が、自分がPRの責任者としてPR戦略全般を仕切ったという発言は、現時点では公選法に触れる恐れもあることから、斉藤知事側が全否定しています。これは公選法違反行為となれば、斉藤氏自身が失職してしまう恐れもあり、社長の主張を認めることはできないからだという意見が多く見られます。

では、やはりPRの勝利なのでしょうか?公選法などの法律には無知ではあったものの、そのPR戦略とその効果はホンモノなのでしょうか?

・「悪法も法なり」ソクラテス
哲学者ソクラテスは、いわれなき中傷を受け死刑を宣告されてしまいます。ソクラテスはその言いがかりのような判決に反発したり逃亡したりすることもなく、毒を飲んでしまうのですが、その時に発したといわれるのが「悪法もまた法なり」という言葉です。例え法律そのものに瑕疵(問題)があっても、法律を守るべきであるという、ソクラテスの政治哲学を表す言葉といわれていますが、実は本当にそんな発言をしたのか定かではありません。それはともかく、法治主義の重要さを訴える例として、今でもことわざのように使われる言葉です。

その原因が無知なのかどうかはさておき、公選法という法律を無視して「PR効果を発揮した」、「SNS戦略が的中した」というのは、ダメなのです。

コンプライアンスが口うるさく叫ばれる現在、仮にPR戦略のおかげで当選ができたのだとしても、違法なPR戦略による結果は成果とは認められません。なぜならライバル陣営は少なくとも法律違反をせず選挙戦を戦っていたからです。法律が定めた規制の枠の中で競争することがコンプライアンスです。そこから外れて出した成果は、成果ではありません。ドーピングによってレースで好成績を題してもそれは認められないのです。

広告においては、心理学手法を用いた技術もあります。サブリミナルプロジェクションという認識できないほど短い時間で画像などのメッセージを送る手法は禁じられています。このように「成果が出れば何でも良い」はずがありません。コンプライアンスに反する手法による成果は成果とは認められないです。

「ズルしていただき」(Cheat to win)が認められるのは故・エディ・ゲレロだけ。

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増沢 隆太

株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。

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