調達購買業務におけるAIの活用について考えてみました。
よくサプライヤの評価は公平公正であるべき、そのためには定量的な評価基準を設定し、実施すべきといいます。しかし、正直な話、絶対的な公平公正な評価など、無理です。また、評価結果が、例えば、サプライヤAは5点、サプライヤB社は3点だったので、A社を選ぶべき、という思考は短絡的と考えます。
判断の基準はあくまでも担当バイヤーの意思によるからです。
私は、サプライヤの選定には、どうしてもバイヤーの意思が入るものと考えます。そしてそれはやむを得ないことです。一方で、サプライヤ選定という意思決定は、バイヤーが考えるよりも、サプライヤにとって、もの凄く重要なものと言えます。例えば、あるサプライヤが、その案件を受注できないことで、収益状況に大きな影響がでてしまうことも、ありますし、最悪の場合、経営が立ち往かなくこともあり得ます。こういう重要な意思決定であるということを、バイヤーは認識すべきです。
そして、このような重要な意思決定を、担当バイヤーの意思で行うわけですから、「私はサプライヤAを選定したい、何故なら~だからだ。」と、いうようにバイヤーは自らの意思決定に説明責任を負っています。そして、その説明が論理的であり、説得性があることが求められるのです。
私は調達購買業務基礎研修でケーススタディを行い、調達購買経験の浅い人たちに伝えていることがあります。
「サプライヤ選定はバイヤーにとって、非常に重要な意思決定であり、その意思決定は常に公平公正であるべき。しかし、そこにバイヤーの意思が入ることはやむを得ないこと、重要なのはその意思決定の理由であり、その理由に正当性が高いことが自身の責務なのです。これは、極端な事例ですが、例えば私はこのAサプライヤを育てたい、だから選定したい、でもいいのです。評価したら何故か知らないがBサプライヤがトップだったので、ここにします、では自身の責務を果していないですよ。」と。
これからはAIの時代です。しかし、AIはサプライヤ選定のための元データ提供や分析、評価はやってくれます。しかし、これは、あくまでも選定支援であり、選定ではない、ということを皆さんも認識してほしいです。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。