何故調達購買部門はROIを気にするのか

2024.02.14

経営・マネジメント

何故調達購買部門はROIを気にするのか

野町 直弘
調達購買コンサルタント

先日、調達購買業務DXのセミナーで講演をしました。そこで、いくつか質問されたのが、ROIについてです。具体的には、調達購買業務DXでどうやってROIを出していくのか、という質問でした。最近はあまり、そういうことを聞かれることも少なくなったように(少なくともコンサルティングプロジェクトでは)感じていましたが、やはりまだ根強いROI志向があるようです。 私は長い間調達購買の専業のコンサルタントなので、他の分野についてはあまりよく知りませんが、IT企業さんなどと話をして良く聞くのは、特に、調達購買部門はROI志向が強そうに感じます。 何故でしょうか。

先日、調達購買業務DXのセミナーで講演をしました。そこで、いくつか質問されたのが、ROIについてです。具体的には、調達購買業務DXでどうやってROIを出していくのか、という質問でした。

最近はあまり、そういうことを聞かれることも少なくなったように(少なくともコンサルティングプロジェクトでは)感じていましたが、やはりまだ根強いROI志向があるようです。

私は長い間調達購買の専業のコンサルタントなので、他の分野についてはあまりよく知りませんが、IT企業さんなどと話をして良く聞くのは、特に、調達購買部門はROI志向が強そうに感じます。

何故でしょうか。

いくつか理由は上げられるでしょう。
従来、調達購買部門はコストセンターと位置付けられていました。ですので、最低限のコストや投資を抑えるべき、という考え方が強い。予算面では、昔の調達購買部門には、コスト削減の予算はあったものの、投資の予算はなかった、という歴史的な背景もあるでしょう。
営業部門などは、費用や投資を抑えられることで、売上げが減ったらどうするんだ、という論理が通りやすく、一方で調達購買部門は費用や投資をしたら、いくらコストが削減できるんだ、と目に見える効果が求められやすい、ということも、その理由と言えます。
また、社内での部署としての重要性の低さも上げられます。
あとは、費用や投資を抑えることは、比較的統制が簡単であるということも上げられるでしょう。

以前聞いてビックリしましたが、ある創業者会長がいて急成長した会社が、1万円以上の支出については、全件会長まで必ず決裁を取る必要があるということです。統制面では、先進的事例とも言えますが、意思決定やビジネスのスピードという観点では大きな阻害要因となっているとも言えます。

このように、調達購買部門の費用や投資に対するROI志向の強さには、様々な理由が上げられるでしょう。

このように、コンサルティングやDXなど特に日本企業において投資対効果をみて判断をする、近視眼的な意思決定が本当によいことなのか、疑問に感じることも多いです。

DXやコンサルティングは主に仕組みを作るものです。仕組みづくりはいわゆる必要不可欠なインフラです。以前、私がある外資系企業に勤めていた時に、CIOが私に、情報システムは人間の身体に例えると血液だ、と言っていたのを思い出します。血液が悪い(ドロドロとかサラサラすぎるとか)と人間の身体は蝕まれます。しかし、始末に負えないのは、一気に蝕まれるのではなく、じょじょに蝕まれるのです。また自覚症状もあまりないことが多く、知らない間に重症化し、気が付いた時には、手遅れとなることがあります。

続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。

Ads by Google

この記事が気に入ったらいいね!しよう
INSIGHT NOW!の最新記事をお届けします

野町 直弘

調達購買コンサルタント

調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。

フォロー フォローして野町 直弘の新着記事を受け取る

一歩先を行く最新ビジネス記事を受け取る

ログイン

この機能をご利用いただくにはログインが必要です。

ご登録いただいたメールアドレス、パスワードを入力してログインしてください。

パスワードをお忘れの方

フェイスブックのアカウントでもログインできます。

INSIGHT NOW!のご利用規約プライバシーポリシーーが適用されます。
INSIGHT NOW!が無断でタイムラインに投稿することはありません。