2006年出版の本なので、今更という感じがしますが、仕事の都合もあって読んでみました。アマゾンのカスタマーレビューが167件もあり、それを読む限り、相当賛否両論な本なんだなあ、と思いつつ読んでみました。
それで、35%が3年で辞めていく・・・。
既存のシステムを維持しつつ、若者に文句を言わせない、辞めさせない方法はないか?というのは、ある意味で、「若者を洗脳できないでしょうか?当社に都合のいいように」と言っていることと同じですね・・・。その要素の全てを否定するわけではないですが、あまり正しさは感じないですね。
誠意のある解決策としては、システム的には、既存のシステムを若者にも合わせて徐々に変化させつつ、若者のほうを既存のシステムに少し寄せつつ、企業を成長させていくという、紙に書くのは簡単ですが、全てを成立させるのが果てしなく難しそうなお話しになります・・・。
会社の成長を前提としない人事システムで、働く人間に対して誠意のあるものにする。例えば、市場価値のあるスキルを身につけられるような仕事につくチャンスをある程度平等に与える。そして、その仕事に応じて給料をお支払いするということでしょうね。
お付き合いさせていただいている社長さんに聞いたのですが、ある創業一族が牛耳る企業があって、まあまあ給料がいいけど、社員には知恵をつけさせないように、つけさせないように、ということを意識してマネジメントしているそうですね・・・。
ある意味、恐ろしい・・・。気が付いたときには、外部で通用するような人間ではなくなってしまっているということでしょうね。これは、本当に誠意がない。
誠意あるようにしようとすれば、研修で伝える知識というものも、その企業自体のことを教える、ということをやりつつ、一般的ということを常に意識したものになるべきでしょうね。
そして、誠意ある解決策の「働く理由、ある意味精神論的な部分」では、企業の社会的意義をしっかり把握しつつ、企業が提供する価値そのものがどんな社会性を持つのかをしっかり伝えるということでしょうね。
それをしっかりと見込み従業員である学生に伝えて、バリュー無し!と判定されると、採用に滞りが出る・・・、というところでしょうか。企業が求める労働力は、社会から需要がある分だけ必要なはずで、社会からの需要がそのまま社会的意義になれば、ノイズは出ない筈ですね。
と正論を言ったところで、ノイズによるミスマッチは多大に起こっているのが事実ではあるのでしょうけど。ただ、この主張は、私は正論だと思いますが、正論だと思ってくれる人はどれぐらいいるのでしょうか?従業員が辞めた後のことなんて知ったことか、と思いますか?
私は企業は社会を支えていると思います。企業自体の提供価値のコンセプトが強くあれば、社会的需要がある。つまりその企業の提供するモノを買いたいという人がいるし、その企業で働きたい、という人が出てきて、そのミスマッチを無くして行くことが重要ではないかな・・・、と私は思うのです。
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若者はなぜ3年で辞めるのか?
2008.04.16
2008.04.09
2008.04.02
THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役
THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。