2006年出版の本なので、今更という感じがしますが、仕事の都合もあって読んでみました。アマゾンのカスタマーレビューが167件もあり、それを読む限り、相当賛否両論な本なんだなあ、と思いつつ読んでみました。
前回、サマリーとともに、新卒採用と研修はどうあるべきか?を考えてみます、といって、長くなってしまったので、また次回という終わり方にしてしまったんですね。
サマリーを再掲しますと・・・
「成果主義が浸透してきたと思われる今日この頃(2006年当時)であっても、未だに年功序列と終身雇用システムをバックグラウンドとする昭和的価値観が、社会全体に浸透している。だが、そのシステム自体は右肩上がりの成長を前提とし、若者の犠牲の上に成立するものであり、既にその前提は崩壊している。また、働くという行為は、やりがいという内発的な動機をベースとするはずなのに、このシステムはそれを押し殺すものである。働く理由に目覚め、かつ、このシステムにしがみつく老人のために低賃金労働を強いられることに気が付いた若者は、このシステムに支えられた昭和的価値観の外へと出て行く」
ターゲットが変化してきているのだから、彼ら「若者」に会社から提供するバリューのコンセプトも変化すべきだし、彼らが会社に対して価値を出し、対価を受け取る仕組みも変化すべきではありますね。
この著者が繰り返し述べているのは、職能給は止めなさいということです。職能給とは、能力に応じてお金を払う考え方ですね。つまり同じ仕事をやっていても、年齢で能力を規定する年功序列システムの中では、その能力に応じて給料を払ってしまうと、同じ仕事をやっていても、給料の上下が存在してしまう。
だから、職務給にしなさい、と。やっている仕事に応じて、給与を支払いなさい、ということですね。年齢が違っていても、やっている仕事が同じであれば、同じ給料。そうしなさい、と。
もし、年齢に応じて能力が決まる前提を維持したいのならば、新卒の採用は、ばらつきのない、最底辺の人間を補充する、言わばアシスタント係、雑用係を補充するということになります。そして、研修は、バラツキを均していくのが目的になります・・・。
前回にも述べましたが、働く意味、理由に目覚めている「狼」と、寄らば大樹の陰的な、「羊」が若者にも両方いるというお話しをしました。
アシスタント係、雑用係が延々と続く状況に、狼は耐えられないでしょう。そのための能力のバラツキを均していくような研修も、彼らにはミスマッチです。
羊は羊で、よりよい「レール」、よりよい安定を求めるので、常によりよいレールはないのか?と探しつつ、日々の雑用をこなすんですね。よりよいレール、よりよい雑用があれば、率先して出て行ってしまう。
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若者はなぜ3年で辞めるのか?
2008.04.16
2008.04.09
2008.04.02
THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役
THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。