コスト削減2.0への挑戦!

2023.10.05

経営・マネジメント

コスト削減2.0への挑戦!

野町 直弘
調達購買コンサルタント

今頃、何でコスト削減なの? 時代はインフレであり、成長と賃上げをいかに好循環していくか、でしょう? しかし、そういう時代であるからこそ、従来のサプライヤ交渉による単なる単価の削減ではない、コスト削減2.0が求められているのです。

このような目に見えにくいトータルコストの削減には、VoSの収集がキーとなります。多くのサプライヤは「今までもこういう提案をしてきたけど、全く取り合ってもらえなかった」というケースが多く、このような取組みにあまり積極的になっていません。それを打破するために、コンサルタントのような第三者がサプライヤの声を聞き上げることで、サプライヤの要望や提案などを吸い上げていくことにつながります。

コスト削減2.0で求められる重要な購買調達の機能が、もう一つあげられますが、それは、「価格転嫁の仕組みづくりによる適正な値上げの反映」です。厳密に言いますと、「コスト削減手法」ではありませんが、「コストダウン手法の社内展開」に似た企業全体で協業しながら進める必要がある機能でしょう。

現在、あらゆる市況は高騰方向です。適正な範囲とはいえ、購入価格だけを上げてしまうと、自社の収益の悪化につながります。一方で、近年の高収益企業に共通する傾向の一つとしてあげられるのは、自社製品価格への転嫁、ができている、ことがあげられます。

自社製品価格の値上げは、経営層による説明責任が生じます。特にB2B取引では、それが求められるでしょう。しかし、営業や企画部門だけでは説明することはできません。それをサポートし、適正な値上げを説明できるようにするためには、購買調達部門の協力なければできないのです。コスト削減手法とは言えませんが、自社の収益への貢献、という意味で捉えると、これもある種のコスト適正化の手法と言えるでしょう。

このように単にサプライヤとの交渉や相見積りで単価を下げるだけでなく、様々な手法を活用しながら、外部支出の最適化を図る取組みが正に「コスト削減2.0」なのです。

今までも仕様の適正化や、VE・VAの取組みは進められています。しかし、それを社内の各部門やサプライヤと協業して推進すること、また交渉で単価を下げるのではなく、目に見えにくいトータルコストの削減につなげていく、という視点から、このコスト削減2.0への挑戦は今後多くの企業で取組み始められるに違いありません。

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野町 直弘

調達購買コンサルタント

調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。

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