ふるさと納税が順調に伸びている。発表によれば、令和4年度の実績は、約9,654億円(対前年度比:約1.2倍)、約5,184万件(同:約1.2倍)だという。 ふるさと納税とは、もともと「ふるさと納税で地方創生」「ふるさと納税で日本を元気に!」というキャッチフレーズにあるように、税制を通じてふるさとへ貢献する仕組み。 これによって、次の三つの大きな意義が達成されるとしていた。
結局、ふるさと納税でうるおった分以上の税収が都会から消え、税金を使った経費ばかりが増えているとしか思えない。これでもともとの目的が達成されていると言えるのだろうか。
納税者が寄付先を選定できるというが、ふるさと納税実施者のほとんどが返礼品目的なのは間違いないだろう。名産品を多く持つ地域ばかりが人気となり、必然的に銘品ランキングとなってしまっている。なかには、その地域とは何も関係ないと思われるような市販品も並ぶ。
実は減税にはならない
意外に多くの人が誤解しているポイントだが、ふるさと納税を行う人にとっては、税金が減るわけではない。「住民税の還元」ばかりが強調されるため、税金が安くなると勘違いしてしまっているだけなのだが、要は住民税(一部所得税)を先払いしていることにほかならない。(2000円の負担は無視している)
ただし、返礼品をもらっているので、正確には、同じ税金で返礼品はもらっているということになる。
ふるさと納税の実施者は、これまで税金として払っていたお金を使って、3割程度とはいえ、返礼品をもらえるのだから、大歓迎だろう。
結局、大枠で見れば、住民税(一部所得税)を使って、返礼品を国がまかなっているという絵にしか見えない。予算は同じで、返礼品の負担のみが増えているのだから、これこそデフレの象徴だろう。
NHKのニュースによれば、松本総務大臣は、「ふるさと納税は認知度が年々高まり、寄せられた寄付金はさまざまな地域の課題解決のために使われている。返礼品については、新たな地域資源の発掘を促し、雇用の創出や地域経済の活性化につながっている面もある」と述べたという。
確かに地方は地域企業の売上が上がり、税収も膨らむという一石二鳥のふるさと納税は、願ったりかなったりの制度だろう。
大臣が言うように、地域の経済発展につながればいいのだが、税金ばかりが使われてしまい、さらに、これによって、多くの住民が暮らす都市部においては、自治体の市民に対する公共事業やサービスの質が落ち、市民生活レベルが低下するようなことになれば、何のための制度かわからなくなってくる。うまく調整されることを願うばかりだ。
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