調達購買部門の主要な役割・機能は「サプライヤとの関係性づくり」です。 これを従来、サプライヤマネジメントと呼んでいました。 一方昨今の環境変化により、より戦略的な取組みである「戦略的サプライヤマネジメント」が求められるようになりました。 ここでは2回にわたって「戦略的サプライヤマネジメント」の説明をしていきます。
調達購買部門の主要な役割・機能とは、何でしょうか。
私がこの質問に答えるとしたら「サプライヤとの関係性づくり」、「最高の調達基盤づくり」即答します。「最高の調達基盤」とは、「強固な相互信頼関係を長期継続できる仕入先群の集まり(基盤)」と定義しています。
調達購買の役割はQCDの最適化であり、中でも「コスト削減」と言われますが、コスト削減はあくまでも結果であり、優れたサプライヤとの取引ができれば、自然とコスト競争力はつくと私は考えます。
私は、約10年程前から、調達購買部門はイノベーション調達の実現を目指すべきであり、その要素として、カテゴリーマネジメント、ユーザーマネジメント、サプライヤマネジメントの連携、を目指すべきと、日頃から言ってきました。
ただ、その当時はサプライヤマネジメントという概念は普及しておらず、サプライヤマネジメント、ニアリーイコール、サプライヤ評価と考えられており、どのような評価指標にすればよいか、ということに多くの企業の関心はありました。
しかし、サプライヤ評価は、あくまでも手段であり、目的ではありません。目的はよいサプライヤとの連携や、評価が低いサプライヤに対して、改善を図り、QCDを向上させることです。
私は、サプライヤマネジメメントはSRM(サプライヤリレーションシップマネジメント)、SPM(サプライヤパフォーマンスマネジメント)、SIM(サプライヤインフォメーションマネジメント)、SRM2(サプライヤリスクマネジメント)の4つのマネジメントで構成されると、考えています。
SRMはサプライヤ戦略であり、サプライヤ戦略は、購入品目別に策定する必要があります。サプライヤ戦略は、SPMのサプライヤ評価やSIMで管理しているサプライヤ情報を元に策定します。それらの情報を元に、評価と関係性(姿勢)の2軸でポジショニングし、今後どの方向に向かわせるか、を検討する、これが、サプライヤ戦略です。
SRM2はサプライヤに関するリスクマネジメントですが、リスクマネジメントは、購入品目に依存するリスクと購買プロセスに内在するリスク(プロセス依存リスク)に分けられます。BCPや供給リスクは品目に依存するリスクで品目毎、サプライヤ毎にリスクマネジメントを進めなければなりません。供給リスクへの対応策は、1.在庫を持つ 2.マルチ化 3.有利に供給してもらえるような関係性づくり、の3点とその組合せとなりますが、昨今の半導体などの供給不足については、サプライヤ毎に状況が異なり、サプライヤのニーズに応じた施策を進める必要があります。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。