サプライチェーン改革には、「何とかしろ! からの脱却」とともに、「自分達だけでは何もできない! からの脱却」も進めなければなりません。
但し、自分達だけでは何もできない、ままで良いでしょうか。自分達だけで何ともならない、から何もしない、のではなく、自分達だけでは何もできない、なら「できるようにしよう!」にしなければいけません。
それでは、自分達だけでは何もできない、から脱却し、「できるようにしよう」に転換するためにはどうすればいいでしょうか。社内での評価や期待を向上させることは、とても難しいことですが、無理ではありません。ここでは、私の経験からいくつかのヒントを伝授していきます。
一つは「見せる化」です。
以前もメルマガ等で書いているので、ご存知な方もいらっしゃるかも知れませんが、「見せる化」とは「見える化」をしかけていくことです。つまり様々なKPIなど、マネジメントに「見せたい」ものを可視化することになります。可視化することで、アピールするのです。これは調達購買部門長やマネジャークラスの責務と考えます。
具体的には、自分達のKPIの設定と目標達成状況の可視化、経営に対する貢献実績などを、最低でも月次の頻度で、アピールすることです。ある企業では、それまで、KPIは設定されていましたが、3ヶ月に1回、例えば4-6月の実績は7月頭にレポーティングしていました。それを月次での報告を月初5稼働日以内に行うように改善を行ったのです。この会社では、この活動によって経営層から調達購買部門が、より注目されるようになりました。
もう一つは「CS調査」です。
ある企業ではユーザー部門の調達購買部門に対するCS調査を毎年行うようになり、これによって、ユーザー部門の調達購買部門に対する評価や期待がダイレクトに見えるようになり、調達購買担当の意識改革につなげられたのです。また、これらのCS調査の結果を社内のイントラに公開し、積極的に広報することで、顧客満足度が向上していることを社内に理解させる
ことにつなげることができました。これらの活動によって、当該企業の調達購買部門は、異動希望先ランキングで上位に入るようになったのです。
このような地道な活動を続けることで、自部門の社内での地位向上につなげ、経営マネジメントや他部門に対する評価を向上し、「自分達だけでは何もできない」と諦めてしまうのではなく、経営トップや他部門への影響度を高め、全社的な取り組みを、調達購買部門主導で作っていけるようになっていかなければなりません。
「何とかしろ!からの脱却」とともに、「自分達では何もできない!」からの脱却も進めなければならないのです。それによって、サプライチェーン重視経営や、そのための仕組みを整備することができ、ひいては企業の競争力強化につなげられるでしょう。
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2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。