今回は、調達購買業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)について、最終回(3回目)の投稿になります。 先回述べた調達購買業務のDXの課題(特に情報系DX)に対して、どのように課題を解決していけばよいかについて述べていきましょう。
このようにコスト(明細)情報の収集、管理、分析も難しいのです。
また、データ分析~活用を一層邪魔しているのは、属性のデータとコストのデータが同じところに保持されていないことでしょう。つまり、分析しようにも違うところ(システム)に情報が保持されているので、データを様々なソースから集めて分析しないと、活用に至らないという問題があります。
それではこららの課題をどのように解決すれば、良いでしょうか。
まずはテクノロジーを上手く活用することです。複数のシステムで蓄積された、ビッグデータをデータレイクに貯めて分析を行うことが、テクノロジーの進化により、あまりコストをかけずに行えるようになってます。また、分析もAIを活用して、様々なシミュレーションを瞬時に行えるようになりました。テクノロジーはスピードと低コストを実現できるのです。
ただ、それはあくまでもデータが各システムに蓄積されていることが前提となります。属性のデータや、コスト明細などが、未だにPDFや紙であったら、そもそもデータを蓄積することが非常に困難です。
そういう場合にも、仕様書やコスト情報は必ずどこかに存在します。まずは、対象物の比較対象になるような過去の購買案件や件名などで、類似品を選択し、その類似品が、一式でもよいので、いくらだったのかが、わかるだけでも、データを活用した交渉が可能となるでしょう。
このように、できるところから、データ活用を進めていく、ことがポイントです。これは、現状のデータについて、収集~分析~活用の視点から、どこまで可能なのか、情報活用の方法を見極めることにもつながります。
コストや手間を無尽蔵にかければ、データ収集~分析~活用は可能です。しかし、それでは効果に見合わないコストがかかってしまいます。
自社で、どのようなデータが、どのような形態で、どこのシステムに蓄積されているのか、これらの現状を把握した上で、先ずは多くを望まずに、何から進めるか、を検討していくべきでしょう。
具体例として、仕様書はPDF、検索できるように、何らかの属性を追加項目として持たせる。コスト明細はエクセルだが、明細があるものと一式見積が混在。仕様書とコスト明細は同じフォルダーに必ず入れておくように運用されており、そのルールは近年は守られている。
このようなケースでは、最低でも、類似案件や類似品を探し、その契約価格を参照することで、対象案件と比較することができます。
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2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。