前回に引き続き、調達購買業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)について、その内容や進め方のポイントなどについて、考察を述べます。
調達購買業務を行うことで、重要な情報を貯める(情報収集)、それを分析(情報分析)し、使う(情報活用)ようにする、最後は活用し、効果を出していくプロセスです。多くの企業で、例えば、情報は貯まっているが、分析されておらず、活用できていなかったり、分析・活用のサイクルはあるものの、収集に手間取っており、十分な情報収集ができない、というケースが多くあります。
次に、情報系DXの情報の種類について考えてみましょう。情報の種類は大きく分けて、購入品に関する情報、サプライヤに関する情報、マネジメントに関する情報の三種類に層別されます。
購入品に関する情報は、コストやコスト明細、品番、仕様、属性等の情報です。これらの情報を収集し、コスト妥当性の評価などの分析を行い、コスト査定などに活用することで、情報系DXのサイクルを回していきます。
購入品に関する情報系DXでの課題は、収集です。通常、何を、いくらで、どこから購入するか、という情報は、購買システムで収集蓄積できますが、いくらの詳細情報(コスト明細など)や、何を買うかという情報(属性情報)は、(なんらかの形で購入品に紐づけておかないと)集まりません。
次にサプライヤに関する情報ですが、これはサプライヤの企業概要などの基本情報や、サプライヤ評価の情報などになります。サプライヤに関する情報の収集は、比較的容易です。年に一回程度、調査票などのようなもので、社内外に対して、情報収集を行って収集する方法が、一般的に行われます。
しかし、課題は、分析~活用のプロセスです。多くの企業で、評価情報を元に課題を抽出し(分析)、それをサプライヤへフィードバックし、改善を促す(活用)ことは、できていません。また、評価情報やサプライヤの当社に対する姿勢などを(分析)し、サプライヤ戦略を作成し、様々な関係性作りなどに活かしていく(活用)ことも、多くの企業でできていないことです。
最後は、マネジメントに関する情報です。これはKGI、KPIと言ったマネジメント指標になります。具体的には、コスト削減額や率、ユーザー部門の満足度指数などが、上げらるでしょう。
KGI、KPIの課題は、収集~分析~活用、全てのプロセスにわたります。まず、情報収集ですが、様々なKGI/KPIを設定したが、そもそも情報が収集できない、収集するのに時間がかかる、そもそも、KGI/KPIを設定したがらない、といった課題もあるでしょう。分析についても同様で、KGI/KPIを設定し、収集しても、それを分析するのに時間がかかる、集計作業やレポート作成に時間がかかり、実績を出すのに、一カ月かかってしまう、ということも少なくありません。
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2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。