モノが買えない時代ーその3-

2022.05.11

経営・マネジメント

モノが買えない時代ーその3-

野町 直弘
調達購買コンサルタント

今回は「モノが買えない時代」の課題の、最終回になります。 前回取り上げた対応策について、進め方のポイントや、より 具体的な方策について、考察を述べていきましょう。

従来のBCPやリスクマネジメントは、品目毎の管理、すなわちカテゴリーマネジメントの延長線上で管理を行っていくのが、常套ですが、サプライヤ、地域、品目の3つのファクターで、見ていく必要がある、というのが三つ目のポイントなのです。

最後に、「サプライヤから有利に扱ってもらう関係性づくり」のために、具体的に何を行っていくべきでしょうか。以下に、いくつか事例を紹介していきます。

一点目は、1オン1の関係性づくりです。
多くの企業では、年度当初の方針説明会など、サプライヤとのコミュニケーション機会は、1対nの機会が殆どでしょう。1オン1のコミュニケーションは、短時間のご挨拶などが中心ではないでしょうか。

企業によっては、1オン1のコミュニケーション機会を定期的に実施しています。ある企業は、クォータリービジネスMTGと称して、約150社の主要取引先と、四半期に一回、1オン1でのコミュニケーションを実施しています。ここでは、取引先の特定の課題をフィードバックし、改善につなげてもらうだけでなく、双方向の取組みとして、サプライヤからの課題提起に対して、バイヤー企業側の取組みについても、併せてフォローを行っていきます。

ポイントとしては、「1オン1」で、且つ「双方向」という点です。できれば、最低でも本部長クラスが参加するようなコミュニケーション機会にすべきでしょう。対象社を絞り込んででも、「1オン1」且つ「双方向」の取組みは実施すべきと考えます。

二点目はVoSです。VoSとはVoice of Supplierの略であり、サプライヤの声を聞く活動になります。ここでのポイントは、購買担当者ではなく、第三者の外部コンサルや、企画や管理部門担当者が、ヒアリングを行うことです。これによってサプライヤの本音を聞き出します。主に
ヒアリング内容は、バイヤー企業との間でのサプライチェーン全体での課題や、他社との違い、などです。

私も以前何度もVoSを実施していますが、サプライヤが本音で話しているのか、そうでないのか、を判別するのは容易です。また、他社の取組みで「こういうやり方をしていて、効果的なので、是非取り入れて欲しい」などの有効な意見も、多く聞かれます。

また、ヒアリング先のサプライヤが、ヒアリング元のバイヤー企業をどのように捉えているか、という営業戦略を窺うことができるのも、大きなメリットです。

三点目は、セールスパーソンのモチベーションを高める、というやり方。サプライヤマネジメントというと、会社対会社、の関係性をいかに作っていくか、に着目しがちですが、取引先の営業戦略は、セールスパーソンの思いを集約したものです。

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野町 直弘

調達購買コンサルタント

調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。

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