不適切行為・不倫問題でテレビから消えたアンジャッシュ渡部さんが千葉テレビの番組でついに復帰しました。初回はひたすら反省を述べる萎縮した姿にもかかわらず、拒絶感を示す意見も消えていません。同じくスキャンダルで消えたゆきぽよさんも、AbemaTVで復活したい思いを語っていますが・・・
明石家さんまさんはかつて、イケメンすぎてデビュー時に男性から嫌われるため、音痴を売り物にしたと言っていますが、正にこれが位置エネルギー降下です。
・「楽な道」への反発
結局、芸能人としての仕事ゆえに「調子に乗っている」と勝手なイメージで反発を感じる人たちは必ずいます。それでも人気があって番組露出も多い状態であれば、こうした負のエネルギーは抑えられています。しかしスキャンダルで通常のバランスが崩れたとたんに、反発は一気に爆発的な噴出となります。こうなった状態が「炎上」であり、もはやどうやってもこの負の奔流は止めることができません。
反省と謝罪を述べ続けている渡部さんとゆきぽよさんですが、一方で「テレビに復帰したい」意欲を出し続けています。これが復帰を阻んでいると気付くべきでしょう。謝罪も会見も行っているのに、全くそれが響かないのは、「地上波テレビの『元の場所』に戻りたい」と言っているからです。
「ヘラヘラ遊びながら、楽してお金儲けしてモテモテ」な場所に戻りたいというメッセージに転換されてしまうのです。
「テレビに戻りたい」は本音だと思いますが、復帰するにはそこに至る道筋の戦略が要るはず。それもなくただ戻りたい、反省しているといくら発したところで、反発を感じる層はずっとくすぶり続けるでしょう。
「芸人なんだからコントライブから出直す」ことを当初から芸人仲間などは言っていました。今さらギャラも出ないような地下ライブに出ることは、「つけあがっていた文化人芸人」という超高層位置エネルギーを下げるため、必要なステップなのではないかと思います。
今だくすぶり続けるスキャンダル芸能人の方々に一番欠けている視点は「位置エネルギーを下げる」ことだと思います。それはただの謝罪ではありません。現状を十分理解した上で練り上げた復帰戦略です。
もしかすれば決して自分は思い上がって等いない、調子になど乗っていなかったという思いがあるのかも知れません。しかし真実がなんであれ、評価は自らがするのではなく、顧客であり一般視聴者が勝手に下すのです。
「元の場所」は「楽な場所」という意味にしか取られないことを踏まえ、元の場所ではなく、もっと「低い場所」を進むことで、もしかすれば道が開ける可能性はあると考えます。その低い道を歩む姿勢を見せること、魚市場のアルバイトでも地下ライブで無名若手に混ざってコントをやること、どの道収入の糧が断たれているのであれば、しっかりと負のイメージを振り切ることが禊ぎであって、反省と元の場所への切望をいくら訴えたところで、恐らく適うことはないだろうと思います。
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2015.07.17
2009.10.31
株式会社RMロンドンパートナーズ 東北大学特任教授/人事コンサルタント
芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。