前回、前々回と調達購買組織の動向について述べました。それでは、今後調達購買部門は何を目指し、どのような組織形態がよいのでしょうか。
今回は調達購買の組織論についての最終回になります。
初回は分散購買化の動き、2回目は集中購買化の動きについて述べてきました。今回はこのような様々な動きを受けて、今後調達購買部門が目指すべきこと、について述べていきましょう。
調達購買組織は、企業毎の状況や求められる機能によって最適な姿が変わってきます。前者である分散化の動きについては、どちらというと製品・事業のニーズにフォーカスし、主にスピードや魅力的な製品・事業作り、技術購買や開発購買を目的として進められるケースが多いです。
一方で、集中購買化の動きについては、グローバルでの購買統制やサービスのシェアード化などの経営ニーズに基づき、進められます。
どちらの方向が正しいとは言えません。個々の業種、企業毎に最適な機能強化の方向性とその方向性にあった組織体制整備が求められるからです。
しかし、調達購買部門が目指すことは両者ともに同じです。
それは「最適な調達購買(外部支出)が行われている状況をつくりあげる」ことでしょう。
しかし、しっかりした調達購買業務を行うことは工数とリードタイムがかかります。また、調達購買がもたらす成果は通常、大きな効果をずっと継続して出すことは難しいです。この点から、ある時点で調達購買は手間はかかるが、それほど大きな効果は出ない、という評価がされることが多くなります。
それでは手を抜いていいか、というと、そうではありません。
手を抜けば、かならずQCDのバランスは崩れていきます。知らない間にコストが上がっていったり、品質が悪くなったりすることがしばしばおこるでしょう。
多くの企業で調達購買の組織体制の見直しや再整備が行われているのは、このような状況にあるからです。
それでは、どうすればよいでしょうか。
結論から言いますと、適度に最適な調達購買が行われていることを担保できる仕組みを持つことと、かける工数やリードタイムを削減することです。
例えば、依頼元へ購買権限を移譲することもその一つの方策です。
しかし、それによってQCDのバランスが崩れないような仕組みを持つことが求められます。ある企業の調達購買部門は、従来は殆どの調達購買権限を集中して持っていましたが、事業ニーズやスピードアップのために、依頼元へ権限移譲を進めました。
しかし、適度に最適な調達購買を担保するために、依頼元に対して積極的に様々な情報提供を行うとともに、それらの情報を活用して依頼元が調達購買業務ができるようにしていきました。
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2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。