「決」の字は、「さんずいへん」に「えぐる」という組み合わせです。これは大雨で川の水が増し、大規模な洪水が起きそうな切迫した状況の中で、堤防の一部を切って水を流し、被害を最小に留めるかどうかを判断することを示しています。そんな心労を伴う「決める」ですが、さて「決める質」を決めるのは何なのでしょう……
そうした複数の追求価値の間で葛藤が生じた場合、最善の答えをどこにつかめばよいでしょうか。それは結局、自分がどの価値軸に肚をくくれるかにかかっています。その決断によって最悪の結果が出たとしても、肚をくくった方向性であれば禍根や後悔はなく、自分のなかでおさまりがつくでしょう。
個人が自分の身の回りのことを「決める」ことですら心労です。ましてや集団の利益を代表するリーダーにとって「決める」ことは、さらなる心労であり難事です。集団が大きくなればなるほど、その内部にはたらく力学も複雑になるからです。複雑な力学の中で、リーダーがどの価値軸に肚をくくるか、そしてそこに至った理由をどう説明するか、フォロワーはそこをきちんと見守り促すことが求められます。
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2009.02.10
2015.01.26
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。