調達購買組織論について、最近の動向やそこからのインサイト、そしてそもそも調達購買部門は今後何を目指していけばよいか、ということについて3回シリーズで考察を述べていきましょう。 まず、今回は昨年の4月に行われた本田技研の組織改革について取り上げます。
一方で集中購買か分散購買か、という点に関しては組織内の体制がどのようになるかによるので、一概に、この本田技研工業のケースが分散購買化につながる、とは言えません。
しかし、自動車の開発組織は、おそらく車種別、部位別の組織となるケースが多いと言えます。そのため、品目別、サプライヤ別組織(従来の調達購買機能)である横串機能は弱まる方向です。つまり、依頼元(開発部門)による分散購買化の方向に向かうと言ってもよいでしょう。
このように、2012年位からでしょうか、調達購買の本部化の流れとは別に、行き過ぎた集中購買から、事業への貢献を目的に、縦の機能強化を行い、調達購買の分散化を進める動向は顕著に出始めてきています。
所謂、調達購買改革の第一次の波であった集中購買化が2000年以降進んできたわけですが、(何でも)集中化し、コスト削減を、という流れから、事業スピードを重視し、コストよりもスピードやデリバリー、変革への対応を重視することで分散購買化する傾向が、様々な企業で出てきています。
実名を上げるのは避けますが、某重工メーカや電機メーカなど、一時期は本部化したものを再度事業所毎に分散化を進めたり、コーポレート調達センターから事業毎の調達に戻すなどの事例が上げらるでしょう。
今回の本田技研工業の組織改編は分散購買化の一つの事例として上げられます。しかし、このような分散購買化の動向において、調達機能の弱体化を防ぐために様々な仕組みを作っている企業も出てきています。例えば、価格の妥当性をチェックするための情報提供を行ったり、購買監査の仕組みをつくり、依頼元の購買統制のPDCAを回す仕組み、などです。
これらの仕組みを構築することで、誰が購買しても適正な購買ができるような仕組みを作り、購買統制を担保しています。
このような仕組みによって事業スピードを損なわずに、分散購買でも適正な購買が実行できる仕組みを構築しているのです。
このように事業軸を重視し、過度な集中購買から分散購買化する動向が見られる一方、グローバルでのカテゴリーマネジメントで組織体制を整備する方向の企業や、ホールディング傘下の調達体制の整備を進める企業も多く出てきています。
次回はそれらの企業の組織体制整備の動向について述べて紹介していきましょう。
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2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。