「今日からアナタはコーチです」 初めてのコーチングセミナーで、いきなりこんなことを言われた経験がある人もいるのではないでしょうか。まだ、コーチングがどういうものかもわからないのにワークショップに参加させられた人もいるでしょう。いきなり、「コーチです」と言われても...「???」になるのは当り前です。
2.完全個別対応のコミュニケーション
たとえば、褒めると伸びるタイプの人もいれば、褒めるとそこで満足して前進しようとしないタイプの人もいます。書店に並ぶ部下管理マニュアル本の多くは、部下の長所を褒めることを推奨しています。
しかし、それはすべての人に当てはまるわけではありません。欠点に焦点を当て指摘してあげることで、部下は自分の欠点に気づき直そうと努力する。そのことが個人の成長の契機となるタイプの部下も少なからずいます。
長所と欠点と、どちらに焦点を当てるのが正解かというと、どちらかに限定しないことが正解になります。どんな部下に対しても、ワンパターンのコミュニケーションでは、当たり障りのない平均的な人間関係を築けたとしても、コミュニケーションを通して部下の成長をサポートすることはできません。
3.変化を意識したコミュニケーション
しかし、部下のA君にはAパターンのコミュニケーション、部下のB子さんにはBパターンのコミュニケーションというふうに相手によってコミュニケーションを使い分ければいいという単純なことではありません。
同じA君でも、状況によって、または時の経過とともに望ましいコミュニケーションパターンは変わってきます。A君の場合は、いつでもAパターンのコミュニケーションで対応すればいいというパターン固定化には問題があります。
また、相手の好むコミュニケーションをするのがコーチングではありません。相手の前進をサポートするのがコーチングです。従って、停滞気味の相手に対しては、相手に不快感を与えることを辞さず、前進を促すために作為的なコミュニケーションを仕掛けることも必要になります。
A君の成長を望むなら、Aパターンのコミュニケーションに執着してはいけません。今日のA君は昨日と違うA君であることを前提にコミュニケートすることが求められます。
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ここまで、日常のコミュニケーションとコーチング的コミュニケーションの違いを3つのポイントに沿って解説しました。(1)双方向で(2)個々人ごとに(3)状況の変化に合わせてコミュニケートする。そのこと自体は大発見でもありませんし、然して革新的なことでもありません。
「今日からアナタはコーチです」
コーチに特別な資格は必要ありません。コーチングの教材は日常生活の中で交わされているコミュニケーションです。つまり、授業料は0円です。アナタも、相手と自分を成長させてくれるコミュニケーションを目指してください。
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