成城石井の調達戦略から工業品の調達戦略の共通性と違いについて考えてみました。
先日テレビで地方特産品を成城石井で取り扱うという企画の番組がありました。これはコロナ禍で苦しむ地方特産品201品の中で、成城石井で販売をする特産品を選定しようというものです。
番組には成城石井の社長が出演し、自ら試食することで、売れるかどうかを判断し、201品の中から最終選考候補で11品選び、正式に販売を開始するものを5品選定しました。
番組では最終選考候補11品の紹介を行いましたが、どれも美味しそうで、成城石井で取扱いを始めれば売れることは,間違いなさそうな食品ばかり。また、どれも地方特産品としてこだわっているものだったことを思い出します。
成城石井は、自家製惣菜、ワイン、チーズ、菓子など、日本だけでなく世界中から、バイヤーが厳選した“おいしいもの”を豊富に揃えるスーパーマーケットです。1927年、東京世田谷の成城に小さな食料品店として創業した「石井食料品店」から始まり、今年の6月現在で184店舗を展開しています。
元々独立系として創業されましたが、その後2014年にローソンの傘下に入りました。成城石井のイメージは、高級だけど、手が届く高級スーパーと言った感じでしょうか。食品の品揃えと品質については信頼がおけるお店でしょう。
成城石井だけでなく、流通小売りにとって、美味しい、売れる、は当たり前の評価軸です。特に「売れる」ものを如何に探してくるか、は流通小売りバイヤーにとっての生命線とも言えます。
一方で、工業製品のバイヤーにとって、従来は開発や技術部門、依頼元などが決めたものを買ってきていたので、何を買うか、という視点はあまり重要視されてきませんでした。ところが、最近は自社製品の競争力強化のために新しい技術やサプライヤを探してくる、それを積極的に採用に向けて提案を行う、というような、従来にない機能を求められるようになってきています。
このように工業製品バイヤーにとっても収益拡大に、直接寄与する買い物が求められ始めました。そういう点から、彼らにも流通小売りバイヤー的なセンスが求められ始めています。
今回の成城石井での地方特産品の新規販売については、「売れる」「美味しい」に加えて、ストーリーがあるかどうか、にこだわったそうです。成城石井の原社長いわく「ストーリー」とは、生産者の思い、だったり、こだわり、だったりということです。
「美味しい」だけでなく、何故おいしいのか、その背後にあるこだわりや歴史、作る側の思いがあることによって、食べる側も共感できる、単なる食べ物ではなく、物語の共有ができることを重視しているとのこと。
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2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。