コロナ禍の過酷な経営環境の下、ユニークな変革やドラスチックな変革を図る、いわゆる「非常識な経営」企業、3社の事例を見ていきます。
この価格見直しにより、1000円を目安の注文する客が増え、今までは700円台だった客単価が上がったということです。また今回の価格見直しの狙いは会計時間の削減であり、コインの
受け渡しを削減することにありました。コロナ禍によって、顧客も従業員もコインのやり取りをなるべく避けたい。すべての商品の価格を50円単位にすることでコインの受け渡しを6~8割
減らせると想定し、実際に会計時間は30%削減されたとのことです。また個別会計も25%削減されました。
サイゼリヤは価格見直しだけでなく、口頭での注文から、専用シートに顧客が書いて手渡しする方法に変更。口頭の注文だと、意図していない商品を注文してしまう伝達ミスがありますが、あらかじめ書いてもらえば、ミスを減らして時間も短縮できます。コロナ感染対策で「飛沫を防ごう」ということで、この施策を一気に導入しました。
このような施策を取りながら今後は固定費をより削減し、8割の売り上げで、収益が出せる収益体質を目指していくようです。
3社目は資生堂です。
資生堂は8月6日に決算状況の見通しと2023年に向けての構造改革(WIN2023)を発表しました。資生堂にとって、新型コロナの影響はかなり大きく、2020年4-6月期の売上高は前年比34.4%の減少となり、営業利益は▲99億円で、前年比▲400億円となっています。
化粧品業界は外食、旅行業界同様に新型コロナによる影響が大きい業種であり、特に資生堂にとっては、高粗利益率を前提とした高い固定費の事業損益モデルが課題となっているとのこと。
WIN2023では「高付加価値スキンビューティー領域をコア事業とし、2030年までに世界No.1を目指す」などの製品戦略改革を盛り込んでいますが、それ以上に衝撃的な改革が「デジタル・Eコマース事業の飛躍的成長を実現」です。
具体的には広告媒体におけるデジタル比率を50%(2019年)を90~100%(2023年目標)へと引き上げること、Eコマースの売上高を13%(2019年)から25%(2023年目標、中国市場では50%目標)を目指すなど、具体的な数値でデジタル化を推進することを宣言しています。加えて「デジタル・データ分析の専門人材強化」で、チーフデジタルオフィサー登用、本社にDXチームを発足、デジタルマーケティング専門人材100名の採用など、徹底的にデジタル化を進めることを発表しました。
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2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。