コロナ禍の過酷な経営環境の下、ユニークな変革やドラスチックな変革を図る、いわゆる「非常識な経営」企業、3社の事例を見ていきます。
コロナ禍が企業経営に与えた影響は少なくありません。一方でこの時期でも強い企業、コロナ禍をきっかけにユニークな変革やドラスチックな変革を図る企業も既に多く出てきています。
今回はそういった企業の取組みやその強みについて紹介していきます。
1社目はワークマンです。
ワークマンはコロナ禍の現状でも一人勝ちしている企業として、最近様々なところで取り上げられています。ワークマンの強みとして、まず上げられるのは高い商品力です。高機能で低価格な商品は枚挙にいとまがありません。私自身もワークマンの高機能商品をいくつか購入しており、その安さと機能性には驚かされています。
しかし、この低価格を実現させているのは低い粗利益率です。ワークマンの粗利益率は36%と言われ、業界他社と比較すると非常に低く抑えられています。低い粗利益率でも収益を確保できているのは低い固定費によるものです。
流通小売り業界での固定費の2大要素は人件費と家賃ですが、人件費についてはFCの比率(95%)を高めることで、変動費化することにより売上の4.5%に抑えています。また家賃についてはロードサイドを中心とした立地や物件の自社化などで売上にしめる比率を1.1%に抑えているとのことです。
固定費が低いことで損益分岐点比率は42.6%(20年3月期)に抑えられています。この低い固定費によって粗利益率を低くしても収益が出ており、その収益をFCと自社(サプライヤも)で分け合うことで、三方良しのビジネスモデルを成り立たせているのです。
また、その他にもワークマンプラスという業態開発によって、商品を増やさないで、売上を増やす方策や、クリック&コネクト方式、サプライヤからの全量買い取り方式、物流プラットフォームへの積極投資、店舗による完全自動発注システムなどの販売効率を高める仕組みで効率的な経営を進めています。
2社目はサイゼリヤです。
ご存知のように、サイゼリヤは低価格のファミリーレストランチェーンです。サイゼリヤは他の外食産業同様に今回のコロナ禍で大きく業績が下落しています。低価格を売りにしているため、現状、売り上げの80%後半が損益分岐点であり、コロナ禍の売上低迷により大きな赤字となっています。
しかし、この状況下でサイゼリヤは全商品を50円単位の価格に見直しました。そのため、多くのメニューが値上げされたのです。彼らの看板メニューであるミラノ風ドリアは299円から300円に1円値上げされ、ネット上のサイゼリヤ信者からは「ミラノ風ドリアショック」と、取り上げられるほどでした。
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2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。