喫煙スペースでのコミュニケーションすらできなくなっている現状では、マネジメント受難どころではないという話なのではないか。
「マネジメント受難の時代」、この言葉を始めて目にしてからずいぶんと経つが、多くの中間管理職(マネージャー)は、今ほどこの言葉が身に染みるときはないのではないか。
最近、以下のような内容のコラムを読んだ。
主旨としては、業績に対するプレッシャーが強まり、一人当たりの仕事の負荷が増大している。人手不足によって年功序列が崩れ、マネージャーはプレイヤーとの兼務が増加、また、年上の部下、パートや派遣など正社員以外の人たちが増え、マネジメントが一筋縄ではいかなくなった。職場環境も大きく変わった。メールやPCによって生身の人間同士の対話が激減、飲みニケーションの場も減った。その結果、各職場で、上下関係を超えた最も濃密なコミュニケーションの場となっているのが喫煙スペース。
といった内容だった。
このコラムが書かれてから、約15年経つ。最後の「喫煙スペース」の部分以外は、現在のコロナ禍の話と同じではないか。オフィスに行くことが減り、ビル全体が禁煙となる会社が多いなか、喫煙スペースでのコミュニケーションすらできなくなっている現状では、マネジメント受難どころではないという話だろう。
15年前でもこうだったうえに、その後、働き方改革と言われて、上司からの残業命令はできなくなり、働く人の環境を向上させるべく、マネージャーの負担は大幅に増えた。
そこにコロナ禍だ。まさに、マネージャー受難であり、もはやどうしていいのかわからないのが現状だろう。
マネージャーへの警告も多い。「テレワークが減ることはない。働き方の多様化を目指し、企業は、さらにテレワーク、リモートワークを推進しなければならない」「多くの若いビジネスパーソンは、テレワークを継続してほしいと考えている」「出社することが仕事の人はもういらない」といった論調が主流だ。中には、「デジタル化に対応できないマネージャーはもういらない」といった話すらある。
また、これからのwithコロナ時代においては、新たなマネジメントスタイルを取らなければ、この先は厳しいという話も多く、評価を「ジョブ型」へと変える、目標を常に共有する、プロセスではなく成果の報告をさせる、バーチャルな空間を共有する、時間管理は各自に任せる、などといった「ご提案」が識者と呼ばれる方々から発信されている。
しかし、こうしたことが簡単にできるマネージャーは少ない。そもそも、日本企業のマネージャー(部長や課長クラス)に「ジョブ型」へ評価方法や給与を変えることができるマネージャーがどれほどいるのだろうか。(役職の変更に関しては、上長が決める場合もあるようだ)
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