多くの企業で在宅勤務が強制的に義務付けられたこの2か月でした。しかし結論的に言うと調達購買部門にとって在宅勤務による支障はほぼなかった、です。特に調達購買部門にとっては「テレワークの推進はこれからも止まらない」不可逆的な流れでしょう。
トラディショナルな議論で、集中購買と分散購買どちらがいいのか、的なものがあります。機能分担においては、集中購買、集中契約を進めるために、物理的にも集中購買部門を本社に置き(場所)、全社の購買を集約するケースが多かったのですが、この場合、工場や事業所とのコミュニケーションが上手くいかない、という問題が頻繁に指摘されました。
それに対して集中購買機能であっても、物理的には工場や事業所に居る(場所)とか、工場や事業所の近隣に居ても問題はなくなります。これで工場や事業所の要求元との、密なコミュニケーションを図ることもできます。
このように機能と物理的な場所を切り話して考えることができ、機能面を優先した組織戦略や組織設計が可能となります。また、これがもっと進むと(本社)オフィス自体が必要なくなるということも近い将来考えられるでしょう。
一方でフェースtoフェースのコミュニケーションの重要性は、より一層認識されます。相手を説得するなどの、単なる報告や連絡ではないコミュニケーションはやはり相手の顔を見ながら相手の理解度を確認しつつ、全身を使ったコミュニケーションやパッションで説得をすることが必要です。大きな商談や要求元との複雑な調整などは、様々なオプションを持ちつつコミュニケーションと取引をしながら、進めていくものです。
このようなケースではフェースtoフェースが非常に重要になります。
また、コミュニケーションをとることが通常の業務になっていないような、新しいサプライヤとのコミュニケーションや今まで話したこともない要求元とのコミュニケーションなどもフェースtoフェースは必要不可欠でしょう。特に日本企業は顔を合わせたことがあるか、どうかでコミュニケーションの取り方や密度が変わってくるので、「初めまして」だけはフェースtoフェースで、やった方がよいという考え方も理解できます。
調達購買業務はコミュニケーションラインもほぼルーティン化されているので、今回の在宅勤務でも大きな問題は表出しませんでした。一方、新規営業などは最もコミュニケーションライン自体を作ることが重要で、オンラインコミュニケーションでは障害が大きいとも言えます。営業の新規開拓などは未だにアポイントメントをとってナンボ、の世界ですし、そういう点からは営業は今回のテレワーク化で相当苦労しているでしょう。
しかし、調達購買はサプライヤから情報収集し、それを自社に役立てていく必要があります。新しいサプライヤは従来にない情報ソースになれる可能性も高いです。そのような情報収集機会を捨ててしまうのではなく、フェースtoフェースのコミュニケーション機会をこれからも活用していくことがバイヤーにとって必要となってくるでしょう。
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2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。