多くの企業で在宅勤務が強制的に義務付けられたこの2か月でした。しかし結論的に言うと調達購買部門にとって在宅勤務による支障はほぼなかった、です。特に調達購買部門にとっては「テレワークの推進はこれからも止まらない」不可逆的な流れでしょう。
前回は、コロナ後のによる人・モノ・金・情報の流れの最適化について述べましたが、今回はそれに続けて、特に調達購買部門の働き方改革にフォーカスして考察を述べます。
多くの企業で在宅勤務が強制的に義務付けられたこの2か月でした。しかし結論的に言うと調達購買部門にとって在宅勤務による支障はほぼなかった、です。特に調達購買部門にとっては「テレワークの推進はこれからも止まらない」不可逆的な流れでしょう。
調達購買部門の仕事はモノやサービスを購入することですが、リアルなモノや人間を取り扱ったりする機能は部分的にしかありません。検収や在庫管理、現品管理などのモノに関わる業務も、もちろんありますが、契約業務に特化した、いわゆるバイヤーにとって、現場は製造現場ではなく、要求元やサプライヤとのコミュニケーションの場であって、様々な情報に基づく意思決定が主業務だということが明らかになったと言えます。このような機能は、今後一層の情報技術の発展によって対面コミュニケーションの代替技術が進化していくことで、益々代替していくでしょう。
一方で今回の在宅勤務は、やむを得ない理由で、突然、在宅勤務を進めざるを得ない状況になりました。そのため、環境面で大きな制約があったことも否めません。小さなお子さんがいるといった家庭環境、仕事用の机や椅子がないなど働く場を準備できていない仕事環境、通信環境やパソコンなどのハード環境など、様々な環境面の制約があり、それが業務の効率を落とすなどにつながったという声も少なくありませんでした。
このような環境面の制約に対して直近の働き方改革でまず重要なことは「選べる」ことです。働く場所や働く時間を個人個人が選べることによってより効率が高まり、効果的な業務ができるのです。
例えば、集中して資料を作成する時は自宅で、対面のコミュニケーションが必要な業務は出勤して、印刷などのツールが必要な場合はサテライトオフィスを活用して、など業務に合わせて最適な場所を選択できる、ということなのでしょう。
ここで重要なのは、あくまでも個々人で「選べる」ということです。多くの企業で、オフィスに何割の人員のみ出社可とか、毎週何曜は出勤を命じるなどの条件を付けている企業のケースが多いようですが、個々人が自分で選択できなければ本気で働き方を改革しようとしているとは言えません。
今回の在宅勤務によってオフィス(特に本社オフィス)という物理的概念の重要性は低下しました。どこにいてもコミュニケーションを取ろうと思えば取れる、ことが分かったからです。
これは従来の組織戦略や組織設計に、より柔軟性を持たせるようになったと言えます。
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2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。