はた迷惑な武勇伝 椎名林檎や森喜朗が理解できないコト 

2020.03.02

組織・人材

はた迷惑な武勇伝 椎名林檎や森喜朗が理解できないコト 

増沢 隆太
株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

コロナ対応で国民が息を潜めた生活を強いられる中、歌手の椎名林檎さんのバンドコンサートが開かれました。オリンピック組織委員長の森元総理は「マスクをしないでがんばる」とのこと。「社員やスタッフのマスク姿はお客様に失礼」などとトンチンカン過ぎる指示を出す某ファーストフード。芸能人や政治家、経営者の無知が今回ほど罪深いものはありません。

・ロック魂と老害
東日本震災後の自粛ムードは国民を萎縮させ、何をやっても不謹慎といわれる騒動も引き起こしました。今回のコロナも国民全員が今は息を殺して生きる生活を強いられています。家に閉じこもっての生活に滅入るのは誰も同じ。

そんな世間に背を向けてロックコンサートを開くのは、世間の流れに乗らないロック魂なのでしょうか?何でも自粛すれば良い訳ではなく、こんな時こそ普段と変わらない日常生活を続けるべきという姿勢でしょうか。「破天荒キャラ」の芸人さんがいますが、それは破天荒を気取っていても結局ヘタレというオチに持って行ける頭脳があって成り立っています。今の時期のイベント強行は破天荒なのではなく、単なる蔓延促進という迷惑行為です。

森元総理はオリンピック組織委員長として、コロナへの注意喚起をした発言の中で「私は最期までマスクをしないでがんばる」発言をしました。首相時代から不用意な発言で有名な森氏だけに、トンチンカンな発言は医学的根拠の無い妄言であると国際的にも批判を呼びました。

ここであげつらった方々は事態の本質を全く理解していない行動や発言として批判を浴びたのです。見当違いのロック魂と老害と呼ばれても仕方ないのではないでしょうか。震災後のような活動自粛やマスク着用は自分を守るためではありません。パンデミック阻止や少しでもピークアウトを遅らせるための「自分以外の人を守るため」のものです。それを理解していないとしか思えない行動ゆえに大きな批判を呼んでいます。

・自己完結できない事態を認識できない罪
学校の急な閉鎖や外出活動の自粛は唐突であり、十分な議論や準備の無さなど、安部政権のツッコミどころは満載だと思います。それでも「卒業の夢を壊した」「せっかく楽しみにしてた行事をつぶされた」という批判は当たらないと思います。

今最大の目標はウイルス蔓延の抑制であり、完全封鎖が出来ない中での少しでも蔓延を遅らせること。個人が罹患するかどうかは二の次三の次のはず。自粛ムードをぶっ壊すことがロックなのではなく、ライブをやれば密閉空間で罹患のリスクがあり、自己責任で来場した人以外への感染リスクを増やすからダメなのです。

あるファーストフードチェーンでは、店舗スタッフが接客時にマスクをするには本社の許可がいるとのこと。こんな非常時にすらも現状対応できないその官僚的意思決定の遅さは狂っているとしか思えません。バカげた勘違い接客サービスを強要させるようでは、せっかく回復した業績がまた再び落ちないのでしょうか。

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増沢 隆太

株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。

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