働き方改革にはCPO[最高“哲学”責任者]が必要

画像: taitiro a.k.a. amamako

2020.02.13

組織・人材

働き方改革にはCPO[最高“哲学”責任者]が必要

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

仕事柄、昨今のいわゆる「働き方改革」、そして「人手不足時代の人材獲得」について企業の人事担当者・経営者と話し合う機会がよくあります。そこで私が提示する観点の一つが「CPO」です。

最高“哲学”責任者だからといって、CPOは学問的な哲学を講釈する必要はありません。前にも触れたように、ここでの哲学とは「物事の根源や意味、価値を考え抜く」ことです。

例えば、下の手書きシートは、私が「健やかな仕事観をつくるワークショップ」で行った内省ワークの答案の数々です。参加者には「仕事の幸福(あるいは、働くことの喜び)とは何かをA4用紙1枚に表現してください」とだけ問いました。





このように各人の仕事観・幸福観がさまざまに出てきます。こうした答案をグループで共有したり、どうしてこういう答えになったのかをクラスの前で発表してもらいます。こうした多様な答えにもまれながら、「あの人の仕事観は深いな(それに比べて自分は表層しかみていなかったな)」とか、「あ、ああいう目線で働くことを考えると、自分が悩んでいたことなんて何でもないことだな」とかの気づきが生まれます。

考えるテーマはその他にも、「仕事とは何か」「事業とは何か」「成長とは何か」「創造とは何か」「自律とは何か(自立とどう違う?)」「失敗とは何か」「自社の存在意義は何か」……根源的な問いであればあるほど、その人の観の深さ/浅さが自覚されるでしょう。

観には唯一無二の正解値というものがありません。各人がそれぞれに醸成するものです。その醸成の場をつくり、醸成の促しをやるのがCPOの役割です。私はこの役割を「哲学する心の発酵促進者(ファーメンター)」と呼んでいます。

こうした哲学的内省をすることが組織の中で文化の一部となり、そこから事業理念や事業目的の共有があり、具体的な事業や製品・サービスへとつながっていく。そのもとでどういった労働環境や手段が最適か、すなわち働き方が決まっていく。そして働き手はいくつかの選択肢の中から働き方が選べることで組織に愛着を持ち、長くそこで貢献しようと内発的に思う。こうした流れが本来の働き方・働き観改革だと思います。


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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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