今回レポートではオセアニア諸国、つまりオーストラリアとニュージーランドの現在の経済状況と中央銀行の金融政策について解説したいと思います。 この両国は経済活動のかなりの部分を中国経済に依存しています。その結果、大きく影響を受けていることを示しています。
3:RBA(豪準備銀行)金融政策
鉄鉱石輸出に不安感があり、不動産価格のマイナス成長と豪経済に暗雲が漂い始めました。そこで動き始めたのがRBAです。
下記グラフ(出所:ウォール・ストリート・ジャーナル紙)は政策金利(キャッシュ・レート)の動きを2002年から示したものです。
RBAのインフレ目標は2~3%のレンジ内で推移させることを最重要視しています。インフレ指標である消費者物価指数は今年第2四半期1.6%前年比と目標の2%には届いていません。
RBAは今年6月1日0.25%、7月2日0.25%、そして今月1日0.25%に引き下げを発表しました。今年前半の1.50%から0.75%と大幅に引き下げ、現在0.75%です。
景気浮揚を狙ったインフレ上昇を目指しているものと考えられ、ロウRBA総裁は「必要なら更に緩和的な金融政策をとる」とも明言しています。
景気指標を見ながら今年中に追加利下げがあり、最終的に0.50%と読むアナリストもいるようです。ひと頃高金利通貨と言われていた豪連邦債10年金利は現在0.90%前後です。年初は2.35%前後でしたから、利回りが大きく低下しています。
豪ドル投資には妙味なしか
年初筆者は豪連邦債が高利回りで推移しており、景気はしっかりしていると当レポートでは報告していましたが、予想が大きく外れてしまいました。
現在は米国債10年:1.60%を下回り、高金利通貨とは言えません。そのために、本邦投資家も豪ドル投資に消極的になりがちです。
その結果、豪ドル/円は現在72円前後で推移しています。こちらも6月上旬の76円前後から見ても豪ドル安に推移しており、豪ドル投資には妙味がありません。
RBAが今後も利下げ方針を示していることから見ても、豪ドルが大きく上昇するとは思えません。豪投資を再開する目安は、不動産指数の上昇、RBAの政策金利打ち止め感、豪連邦債利回り上昇と言えます。
ニュージーランド経済の現状
第2四半期GDPは0.5%前期比、2.1%前年比という現状です。下記グラフ(出所:ウォール・ストリート・ジャーナル紙)は四半期ベースの推移を示しています。
2018年以降は右肩下がりの低経済成長が続いています。米中貿易摩擦の悪影響が懸念されます。
ニュージーランドは酪農大国であり、中国への酪農製品の輸出の比率が大きい国です。
その様な状況の中で、乳業最大手フォンテラ社が、前期最大の赤字を計上しており、高コストの中国で運営している牧場などの売却を検討すると発表しました。
これは酪農業界に大きなインパクトを与え、そして経済全体に暗い影を落としています。
次のページまとめ
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2009.02.10
2015.01.26