今回レポートではオセアニア諸国、つまりオーストラリアとニュージーランドの現在の経済状況と中央銀行の金融政策について解説したいと思います。 この両国は経済活動のかなりの部分を中国経済に依存しています。その結果、大きく影響を受けていることを示しています。
【記事元】
日本クラウド証券株式会社 https://crowdbank.jp
日本クラウド証券メディア マネセツ https://manesetsu.jp
オーストラリア経済の現状
最近の豪経済は景気後退の兆しが出始めたのではと想起させる兆候が目白押しです。
豪第2四半期GDP(国内総生産)0.5%前期比、1.4%前年比と先進国の中では比較的安定しているように見えます。しかしよく見ると、不景気風が吹き荒れる兆しが見られます。
下記グラフ(出所:ウォール・ストリート・ジャーナル紙)は四半期ベース成長率を2005年から現在に至るまで示したものです。これを見ると2017年近辺までは1.0%前後の成長率を示していましたが、現在は0.5%成長が精一杯のようにも見えます。
それでは中身でどの部分が落ち込んでいるのか見てみましょう。
1:資源
特に鉄鉱石と石炭の輸出比重が大きく、特に対中貿易に大きく依然しています。従って中国の景気、特に鉄鉱石、石炭を原材料にした中国の製造業が落ち込むと、資源の輸入が縮小する可能性があります。
鉄鉱石価格をシカゴ先物取引の鉄鉱石価格の推移でみると、7月半ばまでは100ドルを超えていたのですが、8月以降100ドルを割り込み、現在は86ドル前後で推移しています。
中国9月製造業PMI:49.8と景気の分かれ目50を割り込んでいる現状です。中国製造業の景況感は悪化の傾向にあり、そのあおりから鉄鉱石の需要が落ち込み、豪からの輸入減少につながる可能性があります。
2:不動産価格
豪不動産価格が下落の一途と辿っています。下記グラフ(出所:豪経済統計局)は、四半期ベースの住宅不動産価格を2017年6月から示しています。これを見ると2018年以降マイナスの不動産価格となっています。
特に今年第1四半期には-3%となっています。豪不動産価格がマイナスで推移しているのには2つの要因があります。
一つ目は、鉄鉱石中心に輸出が振るわず、また昨年は製造業の主要産業である自動車、特に米自動車企業の撤退など悪材料から、消費マインドが冷え込んだこと。
二つ目には、中国人投資家の投資意欲が冷え込む結果となったことです。やはりここでも中国景気が先行き不透明なのが主要因です。また政治的にも豪政府が、外国の資本が国内不動産を購入することに対して不快感を示しています。
加えて、移住中国人が政治的にも力を持ち始めていることから従来からのオーストラリア人が嫌悪感を示していることも影響してきているのではないかと思います。
次のページ3:RBA(豪準備銀行)金融政策
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2009.02.10
2015.01.26