出版社の倒産がまた増え始めたらしい。東京商工リサーチのリリース記事によれば、前年同期比2.1倍増だという。逆に、台湾の書店が日本で展開を始めるし、LINEは逆に出版事業を始めるという。
さらに業界の垣根を越えて新たなサービスを始めたのが「LINE」だ。
今年の4月に、LINEは、書籍化を目指せる「LINEノベル」というサービスを始めると発表した。
小説を書きたい人はたくさんいるし、そうした人に向けてプラットフォームが用意されるのは喜ばしいことだ。かつて、ライトノベルというジャンルがはやったが、この市場を狙ってのものか。
しかし、驚いたのは、講談社や新潮社など、そうそうたる大手出版社が協力会社として名を連ねていることだ。
確かに、埋もれた金の卵を発掘する機会はあるかもしれないが、もともと担っていた、情報発信の雄としての出版社の矜持はどこにいってしまったのだろう。
日本のものづくりにしろ、マーケティングにしろ、原石であるコンテンツをいかにユーザーのために、ニーズにマッチした内容にアレンジし編集し、付加価値をつけ、あるいは機能をそぎおとし、ユーザーにとって費用対効果のあるものに仕立てていくのが、本来の役割だ。コンテンツそのものが商品として通用するまでには、ひと手間もふた手間もかかる。
出版社の編集機能は、この役割にほかならない。
それを、ほぼ編集機能不要のプラットフォームにゆだねることが、本質的なクオリティの向上につながるのだろうか。
現在、メルカリや楽天、アマゾンにしてもオンライン上でのプラットフォーム化が進んでいるが、いずれも商品やサービスの2次利用にすぎない。
しっかりとしたものづくりに支えられてのものだ。
どのようなすばらしいコンテンツであっても、優れた商品になりえるのは、「編集力」による。
実は昨今の出版不況の最大の原因は、読書離れやデジタル化の流れもあるかもしれないが、作りて側の機能不全が招いた結果という側面もあるのではないか。
これは、私自身にとっても同じようなことがいえる。昨今の仕事のスピードアップは激しく、マーケティングにしろ、広告にしろ、商品にしろ、提供されたものをそのまま市場投入するケースは少なくないし、自分が手掛けたものに対して悔いが残るケースも少なくない。
は日増しに増えている。
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