ものやサービスの値段は時代によって変わるものです。 「高い」「安い」の基準になっている貨幣の価値も時代によって大きく変わります。 さまざまな分野のものやサービスの「お値段」を比較してみましょう。
- 〈昭和31(1956)年〉2万3400円/給水と排水が同時可能に
- 〈昭和32(1957)年〉2万1800円/洗濯機の普及率が10%を超える
テレビ・冷蔵庫とともに「三種の神器」と呼ばれる - 〈昭和34(1959)年〉2万6500円/風呂の残り湯を吸い上げる給水ポンプつき
- 〈昭和36(1961)年〉2万3500円/日本初の全自動2槽式洗濯機発売
- 〈昭和48(1973)年〉3万1000円/アメリカへの輸出本格化
- 〈昭和52(1977)年〉3万2800円/マイコン搭載で水流などを制御
- 〈平成2(1990)年〉8万5000円/ステンレス槽が主流に
- 〈平成6(1994)年〉5万5000円/風呂の残り湯を自給式ポンプで給水 ……
現在では全自動で縦型ドラム式で洗濯~脱水~乾燥までができ、スマホなどから操作できる高級機種もありますね。このクラスだと現在20万円以上、一人暮らし用のシンプルな機種だと数万円からあるようです。
ルームエアコンと扇風機
ルームクーラー(エアコン)もなくてはならない家電のひとつですが、昨今は「熱中症の予防のためにはクーラーの使用をためらわずに」という注意がテレビでアナウンスされることもしばしばです。
クーラーは20世紀初頭のアメリカに発明されましたが、国産の業務用ルームクーラーが開発されたのは昭和29(1954)年のこと。家庭用の発売は昭和34(1959)年になってからです。昭和41(1966)年に発売された機種のお値段は10万8000円でした。大卒初任給の約4倍です。
当初は冷房機能のみのものが主流でした。洗濯機ほど大きく低価格化しない傾向があったようですが、現在では冷暖房機能つきのものでも10万円を切るようになっています。
ちなみに扇風機の歴史は長く、明治27(1894)年に国内メーカーによって発売されています。ただ、高価なものであったため、一般家庭に普及するのは大正時代になってから。具体的なお値段の記録は残っていないようなのですが、高価格であったため、当初はレンタル扇風機なども利用されていたといいます。
そののち、羽根の音の静音化、タイマーやリモコンでの操作、マイコン制御による風量調節などの技術革新が行われてきました。この頃は、手元に小さな扇風機をもっている姿を見かけますね。現在でもクーラーが苦手で、もっぱら扇風機のほうがいいという人もたくさんいます。
いずれにしろ家電は、技術開発と普及度がお値段を大きく左右します。
今年4月、全自動洗濯物たたみ機の先行予約を仮価格185万円で受け付けていた会社が 「資金繰りの悪化で営業の見通しが立たなくなった」として、破産手続き開始の申し立てを行ったことが話題になりました。全自動洗濯物たたみ機が市場に出まわらないことは残念ですが、私たちが普段の家事の中で、煩わしいと感じている部分は、今後さまざまな経緯をたどりながら進化することは間違いないでしょう。
その証に、昭和30年代までの洗濯機の主流が「ローラー式の手絞り機」がついたタイプだったことを考えると、今後、想像もできないような洗濯機の進化が待っているかもしれませんね。
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