2000年当初B2Bマーケットプレイスが多く生まれましたが、現在は全く残っていません。 一方でメルカリなどのB2CマーケットプレイスやB2BECサイトは急拡大しています。 何故でしょうか。その理由を買い手企業側の購買行動から紐解いてみましょう。
本来ならそういう状況において、新しいサプライヤを探すことは、競争環境を作ることにつながりますが、新しいサプライヤへ切替を行うことはバイヤーにとってはリスクになります。
「前のサプライヤはこういうことをやってくれたのに、、」とか開発部門やユーザーの声が聞こえてくるからです。
このように長期継続的な取引であり、且つサプライヤを切替えるニーズ自体が低いので、そもそも新しいサプライヤを探すニーズが低いのでマッチングサービスを使う必要性がない、というのが理由の一番目に上げられます。
一方でECに適していると言われる汎用品などを購入する場合、新しいサプライヤや代替品を採用することのリスクは、専門品やカスタマイズ品を購入するのに対してあまり高くありません。しかし、バイヤーはどうしてもサプライヤや購入品を切替えることによるリスクを気にします。そういう時にはB2Bの取引では商社を活用するでしょう。つまり商社に何らかの保証を求めるのです。
アスクルやMonotaROなどのECサービスは事業者が仕入をし、販売をする商社モデルになります。バイヤーはEC事業者に切替のリスクを転嫁することができるのです。つまり、EC事業者に売り手や購入品の保証をしてもらっているサービスでしょう。
B2Cにおいてはこのような保証を評価という形でサービス事業者が提供しています。つまり口コミ情報で取引リスクを軽減することができるから利用者は購入できるのです。
このように何らかの口コミ情報や専門家(EC事業者)の評価や保証がないとバイヤーはリスクを冒して購入しません。EC事業はこのような機能をEC事業者が果たしますが、マーケットプレイスは基本的にはバイヤーが自分達のリスクで購入するのでリスク転嫁ができなかったというのがB2Bマーケットプレイスが普及しなかった二つ目の理由です。
最後に三つ目の理由ですが、インターネットでの取引はどうしても透明性が高くなってしまいます。ECサイトやB2Cのマーケットプレイスでは何を幾らで買った(売った)か、誰もが見ることができます。しかしB2Bの取引においては取引条件は全て相対で決まります。価格条件、納入条件、支払条件などは全て個別交渉であり、そこには相対取引の守秘義務が生じるのです。逆に言うと透明性が確保されてしまうとトラブルにつながる可能性もあります。これが三つ目の理由です。個別交渉が主となるB2B取引とインターネットの透明性は性質的に沿わないということでしょう。
このような三つの、特に買い手側から見た、理由からB2Bマーケットプレイスは成り立たなかったと言えます。考えてみれば、ごくごく当たり前の理屈です。
しかし、インターネットを介した商取引のメリットは非常に高いものがあります。B2Bの取引の中でもインターネット取引の適合性が高いものや、メリットがより高いサービスが今後出てくることは容易に予測されるでしょう。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。