2000年当初B2Bマーケットプレイスが多く生まれましたが、現在は全く残っていません。 一方でメルカリなどのB2CマーケットプレイスやB2BECサイトは急拡大しています。 何故でしょうか。その理由を買い手企業側の購買行動から紐解いてみましょう。
皆さんはマーケットプレイスをご存知でしょうか。
2000年頃、インターネットが急速に普及してきた時代にでてきたサービスで、Webサイトを通じて、売り手と買い手を結び付ける電子的な取引所のことを言います。
簡単に言いますと、「売ります」「買います」情報をつなげるインターネット上のサービスでしょう。インターネットは、特に新しい売り手や買い手を見つけるための取引コストを圧倒的に安価にできる仕組みであり、インターネットのメリットを活用できるマーケットプレイスは誰もが成功すると考えていました。
特にB2Bの取引においては完全オープン型のマーケットプレイスだけでなく業種特化型のマーケットプレイスも生まれており、次第に業種特化型が主流になりました。業種特化型ではデファクト化されたツールや業種の特性に適合したツールを多くの同業種企業で共有することで、ツール活用のコストや情報伝達コストを低減するということも期待されていたのです。
ところが今日、B2Bのマーケットプレイスとして現存するものは殆ど残っていません。自動車業種に特化したコビシントやタイヤ業界に特化したラバーネットワークなども今は姿を消しています。業種特化することで参加企業の共同調達をも推進しようという目的もあった訳ですが、そのような取組みが成功したという話も殆ど聞きませんでした。
一方でB2Cマーケットプレイスは益々進化しました。Yahooオークションやメルカリなどのマッチングサービスは拡大しています。また、商取引のマッチングの場を提供するというアマゾンのマーケットプレイスは日本国内でもポピュラーな仕組みになりました。またB2B分野でもアスクルやMonotaROなどのECサイトは今も好調が続いています。
何故このような結果になったのでしょうか。色々な理由が考えられますが、今回は買い手側の原理から考えてみましょう。
B2Bの取引は基本的に長期継続的な取引になります。数年に一回しか購入しないような設備についても、基本的には購入先は限定されますし、同じサプライヤからの購入になるケースが多いです。一方でB2Cは単発な取引になります。
メルカリで同じ出展者から続けて購入する、というのは殆どないでしょう。同じ取引先から長期継続的に購入することが多いので、そもそもB2Bの取引ではサプライヤを探すニーズが低いと言えます。
調達購買のコンサルティングをやっていると、支出分析と言って、何をどのサプライヤから、いくら位購入しているかを分析するのが定石です。多くの企業の分析から、感じるのはあまりにもサプライヤが集約されているケースが多いことでしょう。それも工場を中心に近隣立地のサプライヤとの取引が大部分を占めることが多いです。
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2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。