「地産地消」という言葉は大凡10年ほど前から製造業においても使われるようになりました。 元の意味は「地域生産・地域消費(ちいきせいさん・ちいきしょうひ)の略語で、地域で生産された様々な生産物や資源(主に農産物や水産物)をその地域で消費する」ことです。 要するに元々は農水産業での用語として使われていました。 一方、製造業における「地産地消」は「新興国の成長の取り込み」を目的とし、拡大する新興国市場での販売拡大のために現地生産を行うことをいいます。
実際に身の回りの消費財を考えてみても、例えば国内向けのテレビの生産を国内にまた戻すかというと、あり得ないでしょうし、そういう点からは「国内生産回帰」=「地産地消」=「グローバルでの現地化」と単純につながる話でもなさそうです。
実際に調達機能のグローバル化については一部の先進企業や業界を除いて、この10年程殆ど進化していないように感じます。調達機能のグローバル化は、調達機能だけ独立して語ることはできません。地産地消という考え方で、海外で製造するための調達機能は海外に任せておけば、いい、というのではグローバル化とは言えないでしょう。
それは「放ったらかし」でしかないのです。
一部の先進企業ではコンポーネンツ単位にその重要性を定義し、メイクorバイの方針や自社開発or外部委託するか、などの戦略に基づき自社の調達機能のグローバル最適化を図っています。コンポーネンツによってはグローバルで集中化して調達を進めた方が有利なものもありますし、そうでなく「地産」を進めた方が有利な品目もありからです。また結果的に「地産地消」型で現地に任せた方がよい場合でも「放ったらかし」にせず、何をどこからいくらでどれ位買っているのか、またそのサプライヤが持続可能なのかどうか、などの情報を共有することは必須になります。
10数年前から全く同じことが言われていますが、このようなグローバル最適調達が実現できている企業は多くありません。大きな理由の一つはグローバル最適調達は調達だけで実現できる
ものではない、ということかも知れません。調達だけでなく製造機能や物流機能、開発機能、商品企画、もっと言えば販売機能まで、言い換えれば事業戦略そのものとの連携が当然必要と
なります。そこまで広範囲の機能を取りまとめ最適化することはたいへん難しいです。
一方で最近の「国内生産回帰」は長続きしない、という論調が大勢です。何故なら国内市場は人口減少に伴い、大きな拡大は今後期待できないから。こういう状況下で調達機能を含めグローバルでのオペレーション最適化を実現できる企業が今後の勝ち組になることは間違いないでしょう。
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2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。