今までの調達購買部門の役割・機能は「購入品のQCDの確保」と言われてきました。いわゆる「良いものをより安くタイムリーに。」ということです。 しかし時代と共にそれも変わってきています。
つまり本来の顧客ニーズから逸脱した仕様競争だったのです。これも有名な話ですが、アップル社はiphoneの液晶パネルに当時シャープの最先端仕様であった液晶を敢えて採用せず、解像度を落とした汎用性の高い液晶パネルを採用し、それを2社購買化しました。つまりアップルにとって「良いもの」は技術的にも納入面でもリスクが低い汎用性の高いものだったのです。
開発購買は開発上流段階でいかに適正な仕様を買えるように働きかけるか、という活動です。言い換えれば、顧客ニーズにあった無駄のない最適な仕様選定を開発者やユーザーにさせる活動と言えます。
このように考えると「良いものをより安く」ではなく「顧客ニーズに基づく適正な仕様のものを、より安く、よりスピーディに」ということになるでしょう。
これは商品仕入などの流通の世界のバイヤーにとっては、極めて当たり前の役割・機能と言えます。何故なら商品仕入は仕入れた製品が売れなければ収益につながらないからです。
「顧客ニーズに基づき、売れる適正な仕様のもの」でなければ売れません。
このように従来の「良いものをより安く」という買い方はちょっと古い概念になってしまいました。これからは「顧客ニーズに基づく適正な仕様のものを、より安く、よりタイムリーに、良いサプライヤから購入すること」が調達部門の機能であり、役割になっていくのです。
そのためには従来の概念からの脱却がその一歩となります。
つまり、これからはより幅広い機能を果たさなければならないのです。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。